目次
- 日本の公的医療保険とは
- 医療保険としての意義
- まとめ
日本の公的医療保険とは
日本の公的医療保険は、被用者保険(健康保険組合(大企業のサラリーマン)、共済組合(公務員)、協会けんぽ(中小企業のサラリーマン))、国民健康保険(自営業者・年金生活者等)、後期高齢者医療制度(75歳以上)から構成されます。
住所を有する者は被用者保険加入者等でない限り国民健康保険へ強制加入とする方法で、国民全てが公的医療保険に加入する国民皆保険制度が実現しました(1961年)。1956年当時には総人口の31.9%(2,871万人)が保険未適用状態で傷病に起因する貧困問題が社会問題化していたのです。
また、どこの保険医療機関でもどの保険医等でも医療を受けられるフリーアクセスが尊重され、窓口一部負担金を支払えば医療の給付を受けられます(現物給付)。
医療保険としての意義
医療保険としての意義は、原則3割の自己負担で医療給付を受けられることに加え、福祉元年(1973年)には高額療養費制度が導入され、手術などで1か月ごとの医療費が非常に高額になる場合には自己負担の上限が設定されています。これらの結果、全医療保険制度の実効給付率は85.0%(うち、入院は93.4%)となっています。アメリカでは国民の7割近くが民間保険を利用していますが、医療費が高額であるため民間保険の保険料も高くなる傾向があり、低所得者層に無保険者が多く存在するといわれます。
このように日本の公的医療保険制度は世界的にも優れたものであると評価されていますが、高齢化による医療費の急増と制度を支える現役世代の負担が限界に近付いているという大問題を抱えています。
0歳の人が癌に罹患するリスクは、10年後0.2%、60年後7.7%、80年後43.0%となります(2019年データ)。癌だけでなく心臓病や関節炎にアルツハイマー病、腎臓病に糖尿病など、老化は様々な病気のリスク因子です。現代医学では1つの病気の進行を止めたからといって、その患者が別な病気で死ぬ確率が低くなるわけではないようです。高額な医療費を要するうえに、健康寿命を延ばすことは期待しにくいのです。
まとめ
老化そのものを病気と捉え、遺伝子研究などで老化を治療する方法の研究も進められていますが、現在の段階では、老化を自然のプロセスだと諦めずに、短時間の無酸素運動の反復や間欠的断食など、長寿遺伝子を働かせて老化と闘うことが大切ではないでしょうか。
(初出:ぎょうせい・月刊「税」・2024年5月号)