みゆきの里では、2008年10月より料理研究家 辰巳芳子先生のレシピをもとに、「いのちを支えるスープ」を献立に取り入れ、季節の素材を生かしたスープを患者様やご利用者様に提供しております。
この取り組みをより深めるために、みゆきの里栄養科(課)では2023年8月より管理栄養士、栄養士、調理師による勉強会を定期的に開催しております。
今年度からは、山本総料理長のデモンストレーション中心のスタイルから一歩進み、座学と実技を組み合わせた二本立ての形式へと発展しています。座学では辰巳芳子先生の食の理念と思想を学び、実技では野菜の生命力の見極めや蒸らし炒めの味の比較などの実技実習を交互に開催していきます。
今回は「ポルトガル風人参のスープ」の実習を行いましたので、その内容をご紹介します。
実習のテーマは素材の質が味を決める事を理解し、切り方、蒸らし炒め方の意味を体で覚え実践に落とす事です。また、実習を通して今まで学んできたいのちのスープの手法を自分たちで再確認し、次世代へ継承をしていくことを目的としています。
今回の実習ではみゆき園の調理師さんが主となり実習を進めました。山本総料理長が監修された大量調理向けのレシピに調理ポイントが記載された資料を用意してありました。みゆき園のスタッフが日々書き留めていた調理ポイントをまとめてあり、レシピがさらに分かりやすくなっていました。

用意されたレシピを確認しながら、2チームに(みゆき園と富貴苑)分かれてスープを作りました。
同じ材料と同じ分量、同時にレシピを確認しながら調理を進めていきました。
唯一大きな違いは2チームが使用した鍋でした。みゆき園チームは無水鍋、富貴苑チームはステンレスの鍋です。
まず、大きさをそろえながら野菜を切ります。

蒸らし炒めを始めます。まず、火をつけずににんにくとオリーブオイルを分量入れます。

にんにくとオリーブオイルをなじませてから火をかけます。

にんにくのかおりが立ったら玉葱を入れます。

玉葱の蒸らし炒め具合を確認しています。
刺激臭がなくなり甘い香りになります。

人参を加え旨みが出るまで蒸らし炒めます。

トマト・チキンスープ・お米(今回は粥を使用)・約半量のお塩の順に加え煮ていきます。

具材が柔らかくなったら、粗熱をとりミキサーにかけ漉します。
ミキサーにかけたスープを漉し終わったあとに、温めた牛乳も漉して入れます。

再度加熱し、塩加減を調整します。
出来上がりの様子です。


みゆき園のスープと富貴苑のスープです。
見た目はほとんど変わりません。
今回のスープ勉強会に参加された方からの感想をまとめました。
同じ材料・工程で作ったにもかかわらず、2チームのスープに甘み・とろみ・舌触りなど明確な違いが生まれました。特に、蒸らし炒めの際の蓋の密閉や水分量、ミキサーのかけ方、器具の扱いが味に大きく影響することを全員が実感しました。 また、時間管理や調理手順の説明の難しさ、ヘラの使い方など、基本動作の大切さを改めて学ぶ機会にもなりました。スタッフによる飲み比べでは、どちらのスープも丁寧に作られていると評価されつつ、甘みや滑らかさ、旨味の広がりなどの違いがはっきり感じられました。
今回の実習を通して、いのちのスープは材料だけでなく、工程の丁寧さや作り手の技術によって味が変わることを深く理解する学びとなりました。
次回辰巳芳子先生の食思想と理念についての座学の様子をご報告致します。
材料(一単位:12~15人分) *山本総料理長監修
| 材料 | 分量 |
|---|---|
|
にんじん 4~5mm小口切り、10分ほど水につける |
500g |
| 玉葱 縦に薄切り | 150g |
|
トマト 皮取り横半分に切り、スプーンで種をザルにとり、 種と汁に分ける。トマトはザク切り、トマト汁と共に使う。 |
300g |
|
米 洗って10~30分浸水し、ザルにあげておく |
60g |
|
にんにく 薄切り |
1片 |
|
オリーブ油 |
大さじ3~4 |
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鶏のブイヨン(チキンクリアスープ) |
1/4+水1000cc |
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塩 |
小さじ2 |
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牛乳 |
300~400cc |
作り方
1.鍋ににんにく、オリーブ油を入れ弱火にかける。香りがしたら玉葱を入れ、しんなりするまで蒸らし炒め、にんじんを加え旨みがでるまで炒める。
2.トマトを入れ、さらに蒸らし炒めし、次に米を入れ、米が透明になったら、ひたひたにブイヨンと塩小さじ1強加える。すべての材料が柔らかくなるのを確認する。
(米を加えたら焦げやすいので注意する)
米は別鍋でお粥にして加えてもよい。
(お粥を使用する時はチキンブイヨンの水分を調整する)
3.粗熱がとれたら、ミキサーにかけ、こし器を通し、別の鍋に移す。
再び火にかけ牛乳を入れ、濃度を見ながら残りのブイヨンを入れ、塩で味を調え供する。(好みで生クリームを加えてもよい、浮き身にクルトンをのせる)






