はじめに
みなさん腰が痛くなったことはありませんか。腰痛は、現代社会で多くの人が抱える問題の一つであり、特にデスクワークや長時間の同じ姿勢が続く仕事をしている人々にとって、避けられない悩みであろうと思います。日本全国で約2,800万人、国内4人に1人が腰痛を経験しいるとされています。仕事をされている方だけでなく、在宅生活においてもちょっとしたことで急に腰が痛くなることがあります。ここでは、腰痛の原因と姿勢を中心として述べさせていただきます。
腰痛の原因
腰痛の原因としましては、下記内容があります。
1.姿勢の悪さ:長時間のデスクワークやスマホ操作など、猫背や反り腰などの悪い姿勢。
2.運動不足:腰回りの筋肉が弱くなることで、腰椎を支える力が低下による。
3.重い物を持ち上げる:中腰姿勢で重い物を持ち上げると、腰椎に大きな負担がかかる。
4.内臓の疾患:腎臓結石や尿路感染症、膵炎など内臓の病気が原因となることもある。
上記の原因を明確にして、適切な対応をすることで腰痛を予防することができます。
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腰痛が及ぼす影響
腰痛は、精神面や身体面だけでなく多くの影響を及ぼします。下記にその影響について述べます。
1.身体的影響
腰痛によって動きが制限され日頃の生活に支障をきたし、日常生活における質の低下や他の健康問題を引き起こす可能性があります。
2.精神的・心理的影響
痛みによるストレスやその後の生活等に関する不安が増加し、抑うつ状態を引き起こす可能性があります。
3.経済的影響
腰痛の治療や予防にかかる医療費が増えることによる支出面の影響や、働いている方は労働能力が低下するなど、収入面における影響が考えられます。
4.社会的影響
在宅生活における家事や育児だけでなく、趣味や旅行などの活動制限があることで、ご家族の負担が増えることが予測されます。
これらの影響を考えると、腰痛予防の重要性がより一層明確になります。健康で充実した生活を送るためにも腰痛の原因である「姿勢」を中心にご説明をいたします。
支持基底面とは
支持基底面とは、体重を支えるために必要な床面積をいい、体重や重力により圧を感じることができる身体表面(支持面)とその間にできる底面をいう。
良姿勢と不良姿勢、支持基底面について
良姿勢とは、支持基底面の中に頭の重さ、胸の重さ、重心のバランスうまく収まっている姿勢です。
不良姿勢とは、支持基底面から上半身がはみ出ている中腰姿勢です。
この姿勢は頭の重さ、胸の重さが腰に集中し、この不良姿勢を継続することが腰痛を引き起こす原因となります。
(良姿勢) | (不良姿勢) |
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(腰痛と腰痛予防)(3例)
1.重いものを持ち上げるとき
重い物を持ち上げる時は、支持基底面が小さく前かがみになり持ち上げようとすると、腰椎に負担がかかります。予防としては、支持基底面を大きく開き、膝を曲げて腰を落とし、背中を真っすぐに保ちながら、下半身の力を使って持ち上げるようにしましょう。
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2.飲み物を取りだすとき
自動販売機で飲み物を取りだす時は、支持基底面が小さく前かがみになり取ろうとすると、腰椎に負担がかかります。予防としては、支持基底面を大きく開き、膝を曲げて腰を落とし、上半身が支持基底面内を保ちながら取り出します。
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3.洗濯物を干すとき
洗濯物を干す時は、支持基底面を小さく前かがみになり洗濯物を取り出そうとすると、腰椎に負担がかかります。予防としては深く前にかがまないように椅子等を用いて、高さを調整することで負担軽減につながります。
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まとめ
朝に手を伸ばした際に腰の痛みで急に動けなくなるなどなど、年齢に関係なくどなたでも腰痛は発生します。特に年齢を重ねていくと筋力の低下、運動量の低下、柔軟性の低下などの身体面の変化やストレスの増加や睡眠不足などの生活面の変化も重なることで腰痛の発生リスクが高まります。
姿勢面で見た予防するポイントとして
- 「支持基底面を小さくなり、前かがみにならない」
- 「無理な体勢で動かない」
- 「同じ姿勢を長時間継続しない」
の3点が重要となります。
正しい姿勢の維持と適切な運動、柔軟運動、ストレスの緩和、そして睡眠を十分にとることなどを意識して、腰が痛くならないように予防をされてください。