はじめに
2020年秋より、みゆきの里健康ファームと御幸病院リハビリテーション部が共同し、入院患者さま向けにガーデンセラピーの考えを取り入れたリハビリテーションプログラムの提供を開始致しました。タイトルにあるガーデンリハとは、ガーデンセラピーとリハビリテーションを掛け合わせた造語になります。今回は、ガーデンセラピーを活用したリハビリテーション、ガーデンリハの取り組みついて簡単ではございますが、ご紹介させていただきます。
ガーデンリハの目的
病院に入院されている患者さまの中には、元々できていたことが、病気によりできなくなってしまい、気持ちが落ち込んでいる方がいらっしゃいます。また、コロナやインフルエンザの流行時期においては、感染予防対策のため面会を制限させていただく場合があり、病院での制限された生活によってストレスをため込んでいる患者さまもいらっしゃいます。
入院されている患者さまの心の健康を高めるためにも、運動による身体機能の回復だけではなく、五感を刺激するガーデンセラピーを取り入れることで
①花や木、野菜などの自然に触れ、心を癒し、入院生活のストレスを軽減させること
②園芸活動を通して笑顔で楽しく生き活きとリハビリテーションが実施できること
上記の効果を得られることを目的としております。
ガーデンでの作業自体がリハビリテーション
園芸療法は植物を育てること、植物を使う活動を通して心身機能を良い状態に導いていく手法で、以前より作業療法士のリハビリテーションプログラムのひとつとして用いられてきました。園芸活動は体を動かす健康的な運動であるだけではなく、人の五感を刺激し、これにより楽しさや喜び、驚きを感じ、そのことが心を良い状態に保ち続けることになります。さらに、グループで作業することは会話を楽しみ、責任感や帰属感を養い、社会性を保つことにもつながっていきます。
リハビリテーション職種別のガーデンリハで期待される効果
【理学療法】
芝生や畑の中などを歩くこと、立ち座りを行うことでの手足や体幹の筋力アップ
【作業療法】
園芸活動による心身機能の改善、趣味活動の獲得や社会参加への促進、認知機能の活性化
【言語聴覚療法】
自然を眺めながら季節に合わせたコミュニケーション、野菜を見ることや香りを嗅ぐこと食べることでの唾液の分泌促進や嚥下機能の向上
五感に訴えるリハビリテーションの可能性
花や木、野菜に触れて成長過程を楽しむことや、野菜だと食べて楽しむことができます。植物の香りを楽しむことや植物を眺めてゆっくり過ごすこと。木の葉が風に揺られる音を聞くだけでも心と体の健康に結びつきます。ガーデンリハに興味を持たれた方は、ご家庭で実践されてみてはいかがでしょうか。