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食コラム

食材の「うま味」を上手に取り入れて季節ごとの食事を楽しむ方法

目次

  • うま味に関する基礎知識
  • 食材のうま味を上手に取り入れたい時の注意点
  • うま味と季節の食材を組み合わせる時のポイント
  • まとめ

 

「うま味調味料を使っているけれど美味しくならない」「食材本来のうま味ってどんなもの?」とお悩みではありませんか。

うま味を上手に取り入れることで、季節ごとの旬の食材を楽しめるようになることから、うま味がどのようなものかを理解し、美味しい食事を作れるようになると日々が充実するので大変おすすめです。

今回はうま味に関する基礎知識、食材のうま味を上手に取り入れたい時の注意点、うま味と季節の食材を組み合わせる時のポイントについてお話しします。

 

 

うま味に関する基礎知識

 

 

はじめにうま味に関する基礎知識について解説します。

 

 

うま味とは

うま味とは甘・酸・塩・苦の味を混合しても作りえない独立した基本味の一つです。(社団法人 全国調理師養成施設協会編・調理用語辞典より)

うま味の要素は「おいしい」「うまい」と感じられる味であり、他の基本味の要素と組み合わせることで料理を何倍にも美味しくすることができます。

レシピ通りに料理を作っていても物足りなかったり、逆にうま味調味料を使っていても美味しくなかったりする場合、もしかしたら「うま味」の調整がうまくいってない可能性があります。そのため、うま味がどのようなものかを理解し、適切に扱えるようにすることで美味しい料理が作れるようになるのです。

 

基本味の五大要素

基本味の五大要素とは、甘味、酸味、塩味、苦味、そしてうま味を加えた五つの要素を指します。これらの基本味の要素が含まれる食材を組み合わせたり、調味料によって味を調整することで美味しく食べられます。ちなみに、基本味の他に渋味や辛味といった要素も存在しています。

基本味はそれぞれが単体で独立している味の成分であるのが特徴です。例えば、塩味は他の基本味をどんな組み合わせ方をしても再現することはできません。塩味を加えるには塩を含む食材を入れなければならないということです。

うま味の場合も同様であり、基本味の五大要素の一つとして、他の味の要素とは独立した料理に欠かせない味の要素と言えます。

 

うま味の三大要素

うま味の三大要素とは、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つの成分を指します。これらの成分を適切に組み合わせることで、うま味を上手に取り入れることができるようになるのです。

 

グルタミン酸 イノシン酸 グアニル酸
昆布
トマト
パルメザンチーズ
生ハム
アンチョビ
味噌
鰹節
煮干し
イワシ
マグロ
カツオ
その他海鮮類
干し椎茸
海苔
ドライトマト
乾燥ポルチーニ茸
アンチョビ
その他のきのこ類

 

上記はグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つの成分を含む食材の一例です。グルタミン酸を含む昆布、イノシン酸を含む鰹節などは出汁を取って料理に使うことはご存知かもしれません。うまみの三大要素の中でも意外と知られていないのが「グアニル酸」です。干し椎茸を水を戻すことで抽出できるうま味成分であり、その他のきのこ類についても含まれています。

グルタミン酸にイノシン酸やグアニル酸を加えるとうま味が相乗的に増強されます。(社団法人 全国調理師養成施設協会編・調理用語辞典より)

このことから日本の代表的料理であるお味噌汁は、うま味を上手に取り入れた料理の一つということです。

美味しいお味噌汁と同じように、うま味を上手に取り入れたいと考えた時、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸を含む食材を調べて、その食材でどのような料理が作れるのかを考えてみると良いでしょう。

 

旨味調味料について

最近、化学調味料は、旨味成分からできていることから、旨味調味料と呼ばれるようになってきました。昆布、鰹節、干し椎茸などの食品に

含まれる旨味成分を、糖蜜、でんぷんなどを主原料として発酵法により工業的に製造したもので、種類としては単一化学調味料と複合調味料があります。

前者は、L-グルタミン酸ナトリウムと核酸系調味料である5´-イノシン酸ナトリウム、5´-グアニル酸ナトリウム。後者は、単一化学調味料の組み合わせ

によるもので、L-グルタミン酸ナトリウムと5´-イノシン酸ナトリウムあるいは5´-グアニル酸ナトリウムなど複数の旨味成分を複合したものです。

核酸系調味料は、カツオ節(5´-イノシン酸ナトリウム)や干ししいたけ(5´-グアニル酸ナトリウム)などに含まれる旨味成分で、いずれもリボ核酸の

構成成分となっています。これらを混合して用いることで、味の‘相乗効果‘により、それらを単独に用いた場合よりも強い旨味が得られます。

 

旨味調味料はそれ自体強い旨味を呈するが、食物に加えられると素材の持ち味を引き出して全体の味をまとめる効果があります。

(社団法人 全国調理師養成施設協会編・調理用語辞典より)

 

 

食材のうま味を上手に取り入れたい時の注意点

 

 

次に食材のうま味を上手に取り入れたい時の注意点について解説します。

 

 

うま味が濃すぎるとうま味を感じにくくなる

うま味は他の基本味と同様に、濃すぎてしまうとうま味を感じにくくなってしまうので注意しましょう。塩味で言えば、塩分が多ければしょっぱくて食べられないといえば分かりやすいかもしれません。うま味の場合は適切な量を料理に取り入れられれば美味しくすることができますが、美味しくなるかもしれないと思ってうま味成分ばかりに気を取られてしまうと、美味しくなくなってしまうということを覚えておきましょう。

 

特にうま味調味料を使う時は量に注意する

「とりあえず、うまみ調味料をたくさん入れればいいんでしょ?」と考えて、たくさん入れてしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、前述した通りにうま味は濃すぎるとうま味を感じなくなってしまい、他の基本味による味付けがどんなに適切でも、適切でも美味しくなくなってしまうので注意が必要です。

特に顆粒タイプのうま味調味料の場合、目分量で適当に入れてしまいがちですが、料理の量に合わせて、きちんと小さじなどで測って入れるようにしましょう。「美味しくなるんだ!」と盲信してたくさん入れてはいけないということだけしっかりと覚えておいてください。

 

うま味だけではおいしい料理にならない

うま味は料理の中で非常に大切な要素ですが、うま味だけでは美味しい料理にならないということも忘れてはなりません。例えば、本格的に昆布や鰹節を使って出汁を取ったとしても、それだけではうま味が感じられるものの、料理としては完成しないということです。

うま味とともに塩味、料理によっては酸味や甘みを上手に調整し、食べやすく美味しいと感じられる配分を見つけられるようにしましょう。うま味についてよくわからないと感じている場合、まずはお味噌汁をレシピ通りに作ってみること、その他の出汁を使った日本料理のレシピを見て、レシピ通りの分量で、同じ手順で料理することをおすすめします。

基本味のバランスが整うとどのように美味しくなるのか実感し、理解できるようになればうま味を上手に取り入れることができるようになるでしょう。

 

うま味の感じ方には個人差がある点にも注意

うま味は他の基本味と同様に、感じ方に個人差がある点も注意が必要です。もう少ししょっぱい方が好き、もっと甘い方が好きという方がいらっしゃるように、うま味の濃さについては一緒に食べる人にも美味しく感じられるように作るようにしましょう。

特にうま味の場合、前述したように濃すぎてしまうと料理自体が美味しく感じられなくなってしまいます。もし、自分自身で味見したり、食べたりすると美味しいのに、家族には不評な場合はお互いのうま味の感じ方が違うかもしれません。その場合は他の調味料と同様に、ある程度は薄めにしておき、食べる時にそれぞれがうま味調味料を使って味付けを好みの味に調整するようにすると良いでしょう。

 

アレルギーの要素が含まれていないかチェック

うま味を上手に取り入れたいと考えた場合、うま味を持つ食材自体がアレルギーになっていないかということも十分にチェックする必要があります。同様にうま味調味料の種類によっては、原材料に様々な海産物や魚類が入っていることもあるため、家族のアレルギーとなる海産物が含まれていないかチェックしましょう。

また、うま味自体は様々な食材に含まれています。アレルギーにならない食材を用いて、食材本来のうま味を取り入れていくこと、日本食だけでなく、中華料理や洋食なども含めて、様々な料理に挑戦していくことが大切です。同様にレシピが思い浮かばない時、うま味の要素であるグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸を含む食材を調べて、その食材をベースとして美味しそうな料理を見つけていくと献立に困ることはなくなるでしょう。

 

 

うま味と季節の食材を組み合わせる時のポイント

 

 

次にうま味と季節の食材を組み合わせる時のポイントについて解説します。

 

 

季節の食材自体に含まれるうま味を意識する

うま味と季節の食材をうまく組み合わせるためにも、季節の食材がどのようなうま味を持っているのか理解することが大切です。例えば、グルタミン酸を含む食材として、夏野菜で言えばトマト、冬で言えば白菜と言ったような形で、旬のものをまずは覚えていきましょう。

イノシン酸であれば、海産物を中心に四季折々の旬の魚をチェックしてみてください。ただし、魚は種類が豊富な反面、アレルギーになりやすい食材であることに注意しましょう。グアニル酸を多く含むきのこ類は秋が旬と言えます。現在では通年で食べられますが、旬の時には是非とも味わってみてください。

 

あまり難しく考えず、シンプルなレシピにする

うま味を上手に取り入れて、季節の食材と組み合わせたいと考えた時、まずは組み合わせだけ考えて、あまり難しく考えず、シンプルなレシピにするのが非常におすすめです。シンプルなレシピでピンと来ない場合は、お味噌汁やスープを作ることから始めてみましょう。汁物系はうま味を感じやすいレシピや調理方法が多く、手軽にできるので忙しい朝食にも取り入れることができます。

その他にも季節が旬の野菜と豚肉、牛肉、鶏肉のいずれかを組み合わせて、簡単に野菜炒めを作るというのもお手軽でおすすめです。物足りないと感じた場合は、味見の段階でうま味調味料を使って味を調整し、ちょうど良いうま味がどのようなものか探ってみてください。日々作る料理の分量と、うま味の使い方のバランスが取れるようになると、あまり難しく考えなくても美味しい料理がいつでも作れるようになります。

 

見た目と栄養バランスも少々考慮する

うま味と季節の食材を組み合わせる時、見た目と栄養バランスも少々考量しましょう。特にうま味にこだわりすぎると、味付けは美味しくても、見た目が美味しそうに見えなくなってしまいがちなので気をつけるようにしてください。

栄養バランスについても同様であり、うま味にこだわるあまり、他の基本味が強くなりすぎてしまったり、カロリーが多い、もしくはカロリーが少ないということになってしまいますので、うま味による美味しさとともに、料理本来の栄養を取るという部分についても意識しましょう。

 

食材から出汁を取るのも挑戦してみよう

うま味についてある程度理解が深まってきたら、食材から出汁をとってみるのも挑戦してみましょう。明確にうま味調味料よりも美味しいと感じられるかどうかは個人差はあるものの、手間と時間をかけたうま味は特別な味に感じられることは間違いありません。

昆布や鰹節、干し椎茸などの出汁の取り方をチェックして、少しずつ実践してみましょう。また、足りないうま味の成分だけ、うま味調味料を使うというのもおすすめです。例えば、グアニル酸を抽出するために干し椎茸を一晩水につけて戻し、その他のグルタミン酸やイノシン酸はうま味調味料を利用して補うという形でも十分美味しくなります。同様に食材から出るうま味成分を意識して料理できるようになると、料理レシピの幅も広がり、料理そのものが楽しくなってくるようになるでしょう。

 

 

まとめ

 

今回はうま味に関する基礎知識、食材のうま味を上手に取り入れたい時の注意点、うま味と季節の食材を組み合わせる時のポイントについてお話ししました。

うま味は塩味、甘味、酸味、苦味などと同様に適切な量を配分することが最も大切です。しっかりとうま味のバランスを取ることができれば、旬の野菜や食材など、さらに美味しく食べれるようになるでしょう。

うま味を意識することで、料理すること自体が楽しくなるため、うま味を積極的に取り入れながら、美味しく、豊かな生活を送れるようにしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

この記事が食材のうま味について詳しく知りたかった方のお役に立てれば幸いです。

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田邊 史子

田邊 史子(たなべ ふみこ)

現職:御幸病院 栄養管理科 科長

平成6年介護老人保健施設 ぼたん園(日清医療食品事業所)入職。平成8年 御幸病院栄養管理科を経て、現職。みゆきの里の理念である『食から疾病予防』の考え方を基本に、患者様の栄養管理や栄養食事指導を行っている。平成19年より料理研究家・辰巳芳子先生の「作り手から相手の心へ伝わる命を支えるスープ」の考え方、辰巳先生の弟子である大分県由布院の名旅館玉の湯・山本照幸料理長(現・みゆきの里総料理長)から実践方法を学び、みゆきの里の栄養士・管理栄養士等と、各施設内でスープを提供している。

資格

管理栄養士、がん病態栄養専門管理栄養士、NRサプリメントアドバイザー、栄養経営士、在宅訪問管理栄養士