目次
- 「日本型福祉社会」における介護の主な担い手
- 介護保険制度の重要な目的
- まとめ
第2次世界大戦後、我が国社会は劇的に変化しました。
1970年に7%を超えた高齢化率は、1994年には倍増、今年中には30%を超える見込みです。
生活水準や公衆衛生・保健医療の向上に依る長寿化が大きく反映した結果でもあります。
「日本型福祉社会」における介護の主な担い手
いわゆる「日本型福祉社会」にいては、介護の主な担い手は家庭(特に主婦)でした。
しかし、高度経済成長期を通じて核家族化が進む一方、長寿化は要介護高齢者の増加に加え介護期間の長期化、さらには、家族介護者の高齢化などを齎(もたら)しました。
1963年には老人福祉法が施行され、老人福祉施設や在宅福祉サービスが推進されましたが、社会的弱者向けの福祉制度としての限界がありました。
1973年には高齢者医療費の無償化が行われ、病床も急激に増加しました。
一般病床でも、高齢者の長期入院が常態化し、介護ニーズを医療で対応する状況が現れました。
しかし、終末期医療も含め長期化する入院は増加した病床とともに無駄な医療費の温床だとの批判を招きました。
何より高齢者の長期入院は身体機能や認知機能の急速な低下の原因となりやすいという問題がありました。
そこで、高度急性期の治療と回復期のリハビリテーションなどに十分対応できるような病床整理や在宅医療の推進と併せ、高齢者介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設されました(2000年)。
介護保険制度の重要な目的
介護保険制度では家族の介護負担の軽減とともに、高齢者の自立支援が重要な目的となっています。
医療とともに介護も高齢者ができるだけ健康で人生を送るための手段であることを忘れてはならないでしょう。
言うまでもなく少子高齢化の進展は、高齢者の増加に対して、税と保険料による介護保険財源の不安定化を拡大させますし、介護人材の確保の限界も顕在化させています。
まとめ
自分の幸せのため、家族に負担をかけないため、介護保険制度をはじめとする社会システムを持続させるためにも、私達は老化によるリスクをより少なくする健康リテラシーを身に着けて生きていくことが必要となっています。
(初出:ぎょうせい・月刊「税」・2024年6月号)