目次
- 医療機関で行う飲み込みの検査とは?
- 嚥下造影検査とは?
- 嚥下内視鏡検査とは?
- 嚥下検査を行うにあたって
- 最後に
医療機関で行う飲み込みの検査とは?
2024年8月に投稿した「あなたの周りは大丈夫? 言語聴覚士が行う飲み込む力を確認する簡単なチェック方法!」の中に、摂食嚥下障害の検査内容についてお話しました。
飲み込みについて、細かく評価するには外部から観察する(のどの中は見えない)為、専門的な検査を行うことが必要となります。
当院で行っている「嚥下造影検査」「嚥下内視鏡検査」を紹介いたします。
嚥下造影検査とは?
病院では略してVF検査(Videofluoroscopic examination of swallowing)と言われ、造影剤を含んだ模擬食品をX線透視下で飲み込みを行い、記録して解析をする検査です。簡単にお伝えすると首から上が透けた状態となり、飲み込みの状況・飲み込みの力・食べ物の流れが把握できます。通常、レントゲン室で行い、医師・看護師・放射線技師・言語聴覚士が検査に同席します。
良い点としては、飲み込む瞬間まで食べ物の流れが観察でき、嚥下の検査では一番信頼性が高いと言われています。スクリーニングでは判断が難しいムセのない誤嚥(不顕性誤嚥)を確認することができます。
検査を行うためには、レントゲン室へ移動できる状態が条件となります。
最近、CMなどでのみこみのレントゲンが表示されているのがこの検査になります。
目的として①診断的VF②治療的VFがあります。
診断的VF➡器質的な異常はないか、機能的に異常はないか、食べ物の通過状況、食べ物が気管に入っていないか・入りかけないか、口やのどに食べ物が残っていないか
治療的VF➡食べ物がスムーズに流れるための形態評価検討、飲み込み方の評価検討、飲み込みやすい姿勢評価検討
記録にも残るため、ご本人・ご家族への説明の際も、動画を確認することができます。
嚥下内視鏡検査とは?
病院では略してVE検査(Videoendoscopic examination of swallowing)と言われ、鼻咽腔喉頭ファイバースコープにてのどの機能やのどに貯留していないかなど評価することができ、耳鼻咽喉頭科領域で多く使用されています。
良い点として、X線を使用しない為、被爆がなく、検査場所もベット上にて行うことができます。また、スコープを通して評価する為、器質的な疾患やのどの左右どの部分に貯留するかの分析に長けています。
しかし、飲み込む瞬間に画面が白くなる(ホワイトアウト)ため、飲み込む瞬間のムセのない誤嚥の観察はできません。以上から、VE検査はVF検査に比べて、スクリーニング要素が強いとされています。
嚥下検査を行うにあたって
検査では事前に同意書の説明があると思いますので、その際は検査の内容や検査によってどのようなことがわかるのかなどしっかりきいていただくことが大切です。
また、当院では、検査数としてより精査が行える嚥下造影検査を多く実施しております。
最後に
病院で行う摂食嚥下検査を紹介しました。
厚生労働省は病院で行う摂食嚥下のリハビリテーション(摂食機能療法)の対象者の条件の1つとして「内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの」と表記されております。それだけ、嚥下検査は重要な位置つけとされます。
しかし、検査では不安な点などあるかと思いますので、何か気になる点がありましたいつでもご相談下さい。