「やる気や元気が出なくて困っている」「最近あまりお腹が空かない気がする」とお悩みであれば、栄養不足や食欲不振の可能性があります。
栄養不足や食欲不振による「ちょっとした体調不良」は一過性の場合もあり、すぐに治ってしまうこともあることから、あまり気にせず放置してしまうこともあるため注意が必要です。
今回は栄養不足や食欲不振に関する基礎知識、栄養不足や食欲不振に陥る原因、栄養不足や食欲不振を解消したい時の注意点、栄養不足や食欲不振を解消するための対策についてお話します。
栄養不足や食欲不振に関する基礎知識
はじめに栄養不足や食欲不振に関する基礎知識について解説します。
栄養不足とは
栄養不足とは、人間が1日動くために必要なカロリーが足りない、もしくは特定の栄養素が足りずに肉体の維持ができなくなり、体力の低下、免疫力の低下、自覚症状の出るような体調不良などが発生してしまいます。
また、食事をしていても食材の中に足りない栄養素があるだけで栄養不足にもなりますし、同時に特定栄養素を摂取しすぎてしまうことで悪影響になることもあるため注意しなくてはなりません。また、高齢の方や何らかの病気の方の場合は栄養不足と栄養過多によって深刻な影響が出ることもあるため、お医者さんと相談しながら十分に注意する必要があります。
食欲不振とは
食欲不振とは、最初の段階では実感できるような体調不良はないものの、気持ち的にご飯が食べられない、もしくは食欲がなくて食事のことを忘れてしまうような状態を指します。単純に集中していてご飯を忘れていた程度であれば問題ないものの、実は食欲不振で栄養不足、エネルギー不足となると見過ごすことはできません。
食欲不振はストレスや心理的なもの、季節の移り変わりの自律神経の乱れなど様々であり、自分自身では何が原因か特定できないこともあるため、放置してしまいがちになるのが大きな課題と言えます。
栄養不足と食欲不振が重なることの危険性
栄養不足と食欲不振が重なると、栄養が足りないのにご飯が食べられない、エネルギーがないから動けないという最悪の状況に陥ってしまいます。いわゆる一人暮らしの方が風邪を引いてしまっただけで、何日も体調不良から立ち直れないような状況が誰にでも発生してしまうのです。
若い元気な方であってもかなりの問題であるのに、年配の方や病気の方であればすぐにでも救急車を呼ばなければならないような状況に陥ってしまうこともあります。栄養不足と食欲不振自体はほんの少しの違和感しか最初を感じられないことから、少しずつ悪化してしまうというリスクを理解しておかなくてはなりません。
栄養不足+食欲不振=低栄養
低栄養(栄養不足、栄養失調)特に高齢者の方々は、食が細くてあまり食べられなかったり、栄養の消化吸収率が落ちたりして、「低栄養」状態になることがよくあります。
すると、悪循環に「栄養が足りない」→「筋肉が衰える」→「動けない」→「食欲がわかない」→結果=イコール「栄養が足りない」→振り出しに戻るになってしまいます。
一見、健康そうに見える方々も加齢による消化吸収力の減少や筋肉をつくる力の衰えなどから気づかないうちに低栄養に陥り、筋肉が衰えていることがあるのです。
栄養不足や食欲不振は自分で治せる?
栄養不足や食欲不振は自分で治せるか、その答えはご自身の体力と状況によるとしか言えません。もし、栄養不足や食欲不振を自覚した時点で、適切な食事を取れるのであれば自分で治せる可能性も高いと言えるでしょう。
しかし、栄養不足や食欲不振が原因かもわからず、元気がなくてぐったりしており、行動すること自体が難しい場合は自分で治すことはほとんど不可能と言えます。普段通りにご飯を食べれることが実はとても大切なことだと理解し、ご飯が食べられない時は用心する必要があるのです。
家族の栄養不足や食欲不振も気にかけること
栄養不足や食欲不振は、自分自身で気がつかないこともあります。そのため、家族の栄養不足や食欲不振も気にかけるようにしましょう。いつもより食事を多く残していたり、好き嫌いだと思っていたが特定の食材のみ食べていなかったりするなど、栄養の偏りやカロリー不足になっていないかをチェックするということです。
ほんの少しの食欲不振から、ほんの少しの栄養不足、そしてほんの少しの体力低下から様々な病気や症状が発生することも考えられます。自分自身で判断できない時はかかりつけのお医者さんに相談するなどして、早い段階で対応することが大切です。
栄養不足や食欲不振に陥る原因
次に栄養不足や食欲不振に陥る原因について解説します。
ストレスによる心理的なもの
日々の生活や家事、もしくは仕事などで疲れていて食べられない、もしくはダイエットが気になって食事を拒否してしまうなど、ストレスによる心理的なものも栄養不足や食欲不振の原因になります。問題は身体は求めているのに、心が食べられない状態と言えるでしょう。
心理的なものは自分で解決するのが難しい場合もありますし、単純に市販薬を飲むだけでは治らない可能性もありますので、医療機関を受診する必要があります。また、個人のストレスについては、目に見えないものですので、企業等で働いている人であればストレスチェック(※)を利用し、自分の心と身体の状態を知っておくことが重要です。
(※)ストレスチェック制度・・・定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレス状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析、職場の環境改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたもの。
病気や消化器関係の不調
一過性のものや心理的なものではなく、本当に病気や消化器系の不調である可能性も考えられます。自分自身では診断することはできないため、医療機関に行くしかありません。また、市販薬で治そうとすると状況が悪化する可能性もあるので、自分でもかなり状態が悪いと思ったら医療機関に行く、もしくは救急車を呼ぶことも検討しましょう。
季節の変わり目の自律神経の乱れ
栄養不足や食欲不振の原因として、季節の変わり目による自律神経の乱れも考えられます。この場合は個人差はあるものの、寒暖差や気温の変化が一時的に体にネガティブな影響を与えただけで、すぐに元に戻ることもあるので判断が難しいです。ただし、1日、2日であれば問題ないですが、1週間、半月と長引くようであれば、自分では解決できないと判断し、お医者さんに行きましょう。
不規則な生活や偏った食事
不規則な生活や家庭と食事が原因の場合、食欲不振はなくても栄養不足になってしまうことがあります。特定の栄養素が足りずに欠乏したままで体が不調を訴えるということです。ただし、普通の方は栄養のバランスを完璧にするということはなかなか難しいため、この場合もお医者さんに相談するのが一番の近道です。現在の自分の症状に合わせて何の栄養が足りないのか教えてくれますし、具体的に何を食べた方が良いか、もしくは避けた方が良い食材なども教えてくれるので非常に安心できます。
あまり気にならないことも原因
栄養不足や食欲不振は、最初の段階ではあまり気にならないことも状況が悪化する原因と言えます。特にご飯を食べるという行為は自分で自分のために行うことがあるため、手を抜こうと思えば抜くことができます。
そして食べなくても平気だと感じてしまうことで、少しは気になるが余計に気にしなくなってしまい、結果として自分を大切にしていない状態になってしまいがちです。いわゆるセルフネグレクトのような状況に陥らないようにするためにも、元気がない、食欲がないという時こそ自分を大切に、自分にご褒美をあげるようにしましょう。
低栄養の原因に「便秘」も挙げられます。排泄がうまくいっていないと、食欲も出ず、食べたくても食べられなくなってしまいます。
- 腸内に便がたくさん詰まっている
- 食欲が出ない
- 食べないので、腸の動きが止まる
- 腸で栄養を吸収しにくくなる
- 低栄養になる の悪循環になってしまいます。
こうならないためには、できる限り、3食食べて腸を使い続け、腸の消化機能を衰えさせないことも重要です。自分は毎日排泄があるから大丈夫というかたでも、宿便として腸の中に便が停滞していることもあります。便が腸内に停滞した状態になると、腸内環境が悪化し、身体全体の免疫機能も落ちますので、様々な病気を引き起こすことになりかねません。
たかが便秘とはあなどれないのです。水などの水分を十分に取る事、腸に良いプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)や善玉菌の餌になるプレバイオティクス(食物繊維)で良好な腸内環境を目指しましょう。
栄養不足や食欲不振を解消したい時の注意点
次に栄養不足や食欲不振を解消したい時の注意点について解説します。
栄養不足や食欲不振は「気のせい」ではない
ちょっと元気が出ない、食欲がないと感じることは「気のせい」で片付けないように注意する必要があります。特に毎日忙しい日々が続いている時、または季節の変わり目で気持ちの変化や寒暖差がある時は、誰でも体調を崩してしまうこともありますし、ほんの少しの違和感が、実は心と体からのヘルプサインの可能性があることも覚えておきましょう。
例えば1日のうちに1回だけ、1ヶ月に2、3日そういう日がある程度は問題ではないこともあります。しかし、明らかに続いている場合は生活のリズムの乱れ、もしくは気がついていない心身の負担が蓄積されている可能性も考慮し、十分に体を休めるか医療機関に行きましょう。
栄養が摂取できないことを軽視しない
忙しかったり、精神的に疲れていたりすると、ご飯を食べること自体が面倒だと感じることもあります。そのため、栄養が摂取できないことを、むしろ手間が省けたと思ったり、楽に感じてしまい、軽視してしまうことがあるのです。しかし、栄養が摂取できないことは生命の維持活動ができないという意味でもあるため、決して軽視するべきではありません。
なんとなく何かを口にするのが億劫であっても、おにぎりを一つ食べる癖をつけたり、日頃から個包装のお菓子を持ち歩くなどして、「動くためのカロリーを摂取しなくては!」という心構えを持っておくと安心です。
栄養ドリンクやビタミン剤で乗り切ろうとしない
栄養不足や食欲不振をごまかそうとして、カフェインのたっぷり入っているような栄養ドリンクを連続して飲んだり、疲労回復効果がありそうなビタミン剤を1日の摂取量を超えて飲んだりすることは絶対に避けましょう。最初の何回かは、プラシーボ効果で元気になったような気もしますが、基本的にはカフェインが効いているか、糖分によって血糖値が上がっているかどちらかです。
もちろん、必ずしも効果がないとは断言しませんが、栄養ドリンクやビタミン剤は食事をしていることを前提に足りない部分を補う要素であることを忘れず、まずはご飯を食べることを重視してください。
市販の胃腸薬が効かない時は医療機関に相談
昨今ではコンビニエンスストアでも1日分の胃腸薬などを販売していることもあります。そのため、とりあえず胃腸薬を飲めば治るだろうと、何度か購入してそのまま放置してしまうのは避けましょう。また、薬を飲んでいる期間が短いから効果が出ないんだろうと勝手に判断して、飲み続けてしまうのも危険です。
市販の胃腸薬が効かない場合は体調不良の症状と合致していないか、もしくは全く違う病気であることも考えられるため、いくら飲んでも調子が出ないと感じたら購入した薬を持ってお医者さんに行きましょう。
ダイエットにちょうど良いと考えないこと
栄養不足に気がついておらず、食欲不振が不快なものでない場合、お腹が空かないことがダイエットにちょうど良いと考えてしまうことがあります。また、食欲不振が続くことでさらに栄養不足になり、仕事や家事などでパフォーマンスが落ちてしまうこともあるため注意しなくてはなりません。
普段のペースで作業しているつもりが終わらない、もしくはちょっとした失敗やミスが増えたというような時、すでに体調不良を超えて仕事や日常生活に支障が出ている段階とも言えますので、ほんの少しの違和感が強い違和感になる前に栄養を取るか、医療機関の診察を受けることか大切です。
栄養不足や食欲不振を解消するための対策
次に栄養不足や食欲不振を解消するための対策について解説します。
食欲不振を軽く考えず、早めに医療機関に行く
まずは食事に関して違和感がある時は、食欲不振だと捉えて早めに医療機関に行くようにしましょう。「ちょっと食欲がないぐらいで…」と考えてしまうかもしれませんが、普段はご飯がしっかりと食べられている場合は体に異変があると自分を大切にするべきです。
また、医療機関による診断で特に問題なかったり、軽い症状だったりする場合はそれだけで安心できます。不安な気持ちが解消されると、気分的にも元気になりますので、不調の状態を少しでも短くするという気持ちを持って早めに行動しましょう。
市販薬の購入はなるべく薬剤師に相談する
コンビニエンスストアでも胃腸薬が購入できることを前述しましたが、なるべく市販薬を購入する時は薬剤師の常駐するドラッグストアで購入するようにしましょう。少し症状を伝えることで適切な薬を選んでくれますし、状況によってはすぐにお医者さんに行った方がいいと優しく伝えてくれます。
また、自分自身では軽いつもりでも、薬剤師の方から見れば重い症状だったり、もしくは別の病気だったりすることもアドバイスを受けることができますので、市販薬を購入する時は説明をしっかり聞くということを覚えておいてください。
おかゆやうどんなど食べやすく消化の良いものを選ぶ
栄養不足なことを自覚し、食欲不振であることも把握できたら、あまり気が進まないかもしれませんがおかゆやうどんなど食べやすく消化の良いものを選んで、少しずつ食べるようにしましょう。卵を落とす時は生のままにならないように、よく加熱することを忘れないようにしてください。
おかゆやうどんはコンビニでも売っていますし、食器に移してレンジで加熱するのみ、もしくはアルミの容器に入ったうどんをそのまま少し火にかけるだけで食べられるので手間もなく、ゴミも少なく済むので楽ちんです。
栄養バランスやカロリーの調整されたゼリーもおすすめ
栄養不足や食欲不振を意識したら、次は「固形物は食べたくない」のようなことを考えてしまうこともあるかもしれません。最近は栄養バランスとカロリーの調整されたゼリーもたくさんの種類が発売されているので、自分の好みのフレーバーを選んだり、特に足りないと思う栄養素のあるものを購入して摂取してみましょう。
パウチ型のゼリーは食べるのも楽で簡単ですし、ゴミもほとんど出ません。また、ゼリーの量もおにぎり1個分あるかないかぐらいであり、食べた後に胃もたれするようなこともあまりないので安心です。ゼリーで少しずつ栄養が取れたら、おかゆやうどん、または食べられそうな固形物に挑戦してみてください。
無理に食べようとせず、食欲を感じたものを食べる
「食べなくちゃいけないことは分かっているけれど、今は無理」ということもあるでしょう。そんな時は無理に食べようとせず、食べたいと食欲を感じたものを食べることをおすすめします。また、明らかに自分でも食べられない状態の場合、食べるのは無理でも、多少無理してでも医療機関に行くようにしましょう。
栄養が取れないと動けない、動けないから栄養を取るための行動が取れない、もしくは市販薬を購入しに行くこともできないという悪循環になると、立ち直るまでとても時間がかかりますし、症状が悪化すると救急車を呼ぶ必要も出てきます。早めに医療機関で診察を受けることで、体調不良の期間が短くなり、元気な時間が増やせるようになると覚えておいてください。
まとめ
今回は栄養不足や食欲不振に関する基礎知識、栄養不足や食欲不振に陥る原因、栄養不足や食欲不振を解消したい時の注意点、栄養不足や食欲不振を解消するための対策についてお話ししました。
ちょっと元気がない、少し食欲がないという程度ですと、市販薬を購入するのもためらいますし、お医者さんに行くのも大げさだなと感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、2、3日であれば別ですが、1週間やそれ以上続くようであれば必ず医療機関に行くことをおすすめします。
また、自分自身で何とかしたい、すなわちセルフケアをする時においても、市販薬の購入時には薬剤師のアドバイスを受けること、栄養について調べる時も過剰な接種を避けて、カロリーも含めてバランスを考えながら食べやすいものを摂取することが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が栄養不足や食欲不振にお悩みの方のお役に立てれば幸いです。