HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第10回 「アルツハイマー病になる方法」

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アルツハイマー病は、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、シナプスを破壊することが原因と考えられたので、その産出を阻害したり除去したりする薬が開発されてきましたが、効果が無かったようなのです。

一方、アメリカのデール・ブレデセン博士は炎症や栄養不足などの多様なリスク因子に対する脳の防御反応の一環としてアミロイドβが蓄積されたのであり、多様なリスク因子そのものを取り除く治療を実践し「アルツハイマー病の終焉」を著しました。同書の中で博士は、現代人の生活スタイルそのものがリスク因子の連続であることを示しました(「アルツハイマー病になる方法」)。

 

 

 

 

短時間の浅い眠りから目覚め、今日一日の課題を考えてしまいます(ストレスで、海馬にダメージ)。

朝食はパンにジュース、珈琲には大量のローファットミルクを入れました(小麦のグルテンが胃腸内膜に穴を開け、砂糖はインスリンの働きを悪くし、乳製品で炎症を誘発)。

昨晩の夜食から12時間を経過していません(細胞のオートファジーが発揮されずアミロイドβなどの不要なタンパク質のかけらが残存)。

通勤は車です(運動せず、日差しも浴びない)。

午前中にチョコチップマフィンをつまみ、ランチはサンドイッチにソーダを飲み、チョコレートケーキを頬張りました(高血糖にグルテン、トランス脂肪を摂取)。

食後に歯磨き・デンタルフロスの出番はありませんでした(口腔内が不潔で全身の炎症が促され、脳への有害物質の流入を防ぐ血液脳関門をも破壊)。

午後も動かずに、甘い飲み物でひたすら糖を消費します。

帰りも車で、交通渋滞のイライラが続きます(高くなった血圧が有害物質の血液脳関門通過を後押し)。

夕食は、グルテンたっぷりのパスタに、大きなフライを食べました(終末糖化産物AGEとトランス脂肪を摂取)。

夜はTV画面に釘付けで、チーズケーキを食べて寝ました(運動せず)。

 

 

ブレデセン博士によれば、このような生活スタイルが無症状のままアルツハイマー病を進行させるというのです。私達も思い当たる点が多々あるのではありませんか?

食事・運動・ストレスコントロールなど、今からでも生活スタイルの見直しが必要ですね。

 

(初出:ぎょうせい・月刊「税」・2025年1月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)