HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第11回 生活習慣で癌もアルツハイマー病も防げる?

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身体の中では毎日何千個という癌細胞ができていると言われます。

DNAに障害が加えられると、DNAに記載されている情報である「遺伝子」が変容し癌化するようです。

遺伝子異常(DNA損傷)のリスクとしては、酸化、UV、栄養不足、化学物質、低酸素、ピロリ菌、肝炎ウィルスなどに起因するストレスが挙げられます。

ただ、遺伝子異常から画像診断が可能なレベルまで癌細胞が増殖するには5年から20年は経過しているようです。

また、慢性炎症や栄養不足、化学物質や生物毒素などのリスクに長時間晒されていると、脳にアミロイドβができやすくなります。ただ、アミロイドβが溜まりはじめてアルツハイマー病を発症するまでには25年ほど要すると言われます。

 

 

 

私達にはリスクに対応する仕組みが備わっており、発症までの期間が長くなっているのではないかと思われます。発症に至らず済んでいる場合も多いのではないでしょうか。

例えば、酸化ストレスの場合、呼吸などによってフリーラジカル状態の活性酸素が発生しても、SODやカタラーゼという抗酸化酵素によって、水と酸素に無害化される仕組みがあります。

また、ヒドロキシラジカルという状態になった活性酸素に自らの水素を与えて無害な水に変えるビタミンCなどの抗酸化物質も存在します。

遺伝子情報が変容してもP53などの癌抑制遺伝子が備わっており、DNAが傷ついている場所を特定し、治せる場合は修復し、治せない場合は細胞死(アポトーシス)へ誘導したり、細胞分裂を停止させたりする仕組みもあるようです。

さらに、T細胞(リンパ球の一種)が血流やリンパ系を移動して癌細胞に発現する癌抗原を体内の異物として探し出し殺傷する機能や、癌細胞をモグラたたきのように見つけては殺すというNK(ナチュラルキラー)細胞という免疫機能もあるようです。

 

一方、抗酸化酵素やNK細胞などの働きは、20歳頃をピークに年齢とともに効力が落ちてくるとも言われています。

そこで、リスクとなるストレスに注意しながら、免疫機能を低下させないように腸の調子を整える物質や抗酸化物質などにも配慮した食事を取るなどの生活習慣こそ、日々私達が健康の為にできることとして重要であると思われます。

 

(初出:ぎょうせい・月刊「税」・2025年2月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)