HOLISTIC HEALTH JOURNAL

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第12回 達人の筋肉で老化に抗う

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人間の筋肉は20代をピークに以後、年に約1%の割合で減っていくようです。

10年で1割の筋肉が減る計算ですが、じわじわと減っていくので気付きにくいのです。

 

 

筋肉について

 

 

筋肉量が落ちているのに前と変わらない活動量を維持しようとして、疲れが取れにくくなったと嘆くことも多いのではないでしょうか。

ただ、嬉しいことに筋肉は歳をとっても運動すれば増やすことのできる器官です。

筋肉減少の流れを変えれば、身体の老化の流れも変わります。

体重を維持するだけではいけません。筋肉が減った分脂肪が増えるというサルコペニア肥満は危険です。

タンパク質不足には要注意です。筋肉には身体が消費するエネルギーの基礎代謝が多いので、筋肉を付ければ無駄な肉は取れていきます。

 

 

 

大腰筋

 

 

まっすぐに溌溂と歩くという若さの象徴に大事な筋肉は大腰筋です。

上半身と下半身を繋いでいる唯一の筋肉で、直立二足歩行を行うために非常に重要な役目を果たしています。

腰が曲がらない、躓かない、寝たきりにならないためには最も重要な筋肉なのです。大腰筋を鍛えることで、老化に抗うことができるのです。

大腰筋は、大腿骨と胸椎の12番、腰椎の1~5番の骨を繋げています。胸椎の12番は肋骨の付いている骨で、お臍より高い位置にあります。大腰筋はそこから大腿骨のつけ根に繋がって大腿骨を吊り上げているのです。大腰筋によって両足がぶら下げられているというのが、本来の立つという状態で、モデル歩きが美しいのもここに秘密があるのです。臍付近で大腰筋に力を加えると骨盤も立ってきて、「中心軸が立った状態」になります。

ここからインナーマッスルである大腰筋から始動させることが武道の秘訣でもあります。大腰筋が「達人の筋肉」と呼ばれる所以です。

 

 

まとめ

 

大腰筋をはじめとする筋肉を鍛えることは、見た目から老化抑止に効果があるだけではありません。

無酸素運動で筋肉の減少を抑え、有酸素運動で代謝(動脈系)の衰えを防ぐという組み合わせは、身体、特に血管などの「酸化」と「糖化」を防ぐことにも繋がります。

酸化は血管や肌の細胞が錆びつく現象であり、糖化は血管や肌が硬く干乾びていくような現象です。これらは老化抑止の天敵なのです。

 

(初出:ぎょうせい月刊「税」2025年3月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)