HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第13回 股関節からの老いを反転させる

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股関節を痛めると身体を動かすことが億劫になり、老化を促進させる大きな要因になると言われています。

その原因には、加齢や肥満とともに、日常生活で長時間同じ姿勢で過ごすこと(例えば常に同じ脚を上にして組むなど)があります(デスクワークなどでの座りっぱなしは特に要注意)。

 

 

股関節の役割

 

 

股関節は、骨盤と大腿骨という大きな骨を繋いでいながら、屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋と六つの方向に自在に動く球関節です。

大腿骨の一番上の骨頭が丸い球状になっており、それが骨盤の窪みにはまっています。球状面と窪み面は軟骨でできており、関節液で浸されています。

軟骨組織が押しつぶされた後に元に戻る時に周囲の関節液を吸収するので栄養も取り込めるようです。軟骨の修復という観点からも関節をよく動かすことが大事なのです。

 

 

股関節の働き

 

 

股関節の働きには、支持性とともに可動性がありますが、直立歩行する人間が歩く場合に働くのは垂直に立つ骨盤を後ろから押し出す大殿筋(お尻の筋肉)になります。モデルのように美しく大股で歩くには、背骨の下方部分の腰椎を大腰筋により前に押し出しながら、大殿筋の上の部分の筋肉で直立した身体を後ろから前に押し出すことが重要なのです。

さらに、上半身(体幹)を安定させて歩くことが美しい歩行につながるとともに、股関節に掛かる負担を減らすことにもなるようです。体幹の安定には、肋骨の下から骨盤までの間の腹腔を引き締めて安定させることが求められます。横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群などを使う必要がありますが、このために有効なのが、肛門を締めながら息を吐いていく呼吸法だと言われています。

なお、ふくらはぎがパンパンに張っている方は要注意です。股関節の可動域が狭く膝より下を使って動いている可能性があります。バスケットボールの神様、マイケルジョーダンの現役時の写真をみると、ふくらはぎは小枝のような感じです。

 

 

まとめ

 

このように股関節のあるべき動きを求めていくと、望ましいとされる剣道の動きや坐禅の姿勢などに重なってきます。修行と健康、老化の抑制はつながっているのではないかと思われます。

 

(初出:ぎょうせい月刊「税」4月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)