HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第15回 酸化を抑え、老化に抗う

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目次

  • 酸化反応の連鎖
  • 意識的に酸化を抑えるような生活を心掛ける

 

人間の体を組成する炭素や酸素などの元素は、中心に原子核、その周辺に電子が広がっており、それぞれの分子では、化学的に安定する電子の数が決まっています。原子核を周回する電子の数に不足が生じ不安定になった物質をフリーラディカルと呼びます。

人は、呼吸によって1日に500ℓ以上の酸素を体内に取り込み、毎分約0.3ℓの酸素が肺胞から血液中に送られるそうです。その後、ミトコンドリアがエネルギーを作るプロセスで、約2%が活性酸素となるようです。活性酸素はフリーラディカルであることが多いのです。

 

 

酸化反応の連鎖

 

 

フリーラディカルは安定するために隣の分子を攻撃し電子を奪い取りますが(還元反応)、電子を奪われた(酸化反応)不安定な分子は、他の分子を攻撃するという酸化反応の連鎖が起こります(酸化ストレス)。私達の体内には、抗酸化酵素(SODなど)や免疫(NK細胞など)等の抗酸化システムがありますが、年齢とともに低下するようです。

問題は酸化反応の連鎖の過程で遺伝情報であるDNAが損傷することです。

私達のDNAを修復する機能を超える損傷が発生すると、体内のたんぱく質や脂肪などの細胞が変性し破壊されることで、老化現象が促進され、また、動脈硬化、がん、糖尿病、アルツハイマー病などにつながるとも言われています。

 

 

意識的に酸化を抑えるような生活を心掛ける

 

 

高齢になる程に私達は、意識的に酸化を抑えるような生活を心掛ける必要があるのです。

まず、食べ物から抗酸化成分をしっかり摂取することです。

ビタミンA、C、Eが代表的ですが、特に、フィトケミカルといわれる植物由来の化学物質にも注目です。植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから身を守るために作り出した成分のことです。

代表的なものには、ポリフェノール(赤ワイン、ブルーベリー、緑茶など)、カロテノイド(ニンジン、カボチャ、トマトなど)、含硫化合物(ダイコン、ワサビ、玉ねぎ、キャベツなど)などがあります。次に、紫外線、大気汚染、化学物質、残留農薬、さらには長時間の激しい有酸素運動など活性酸素を増やす状況に留意することも大切です。

また、食生活において、食後高血糖や血糖値スパイクを防ぐため、糖質の量を控えてたんぱく質と脂質を増やし、食べる順番を考えながら摂取することも重要だという指摘もあります。

 

(初出:ぎょうせい月刊「税」5月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)