私達の身体を構成している約37兆個の細胞の一つ一つは、約10の25乗個ほどの分子で構成されていると言われます。
これらの分子が整然と秩序だった行動を取っていることこそ私達が生きているという現象です。
この秩序が乱れることが病気であり、無秩序(カオス)になることが死ぬことです(エントロピーの増大)。
分子と原子
分子は原子が結合したものです。
原子とは、プラスの電気を帯びた原子核の周囲をマイナスの電気を帯びた電子が超高速で回っているスカスカな存在です。
ある原子核の周囲を回る電子の軌道が隣の原子核の近くまで来ると、電子のマイナスの電気と2つの原子核のプラスの電気との間で引力が生じて2つの原子が結合するなど、電子による電気的な引力を接着剤とした様々な原子の結びつきが分子を構成しています。
分子による生命活動には電子のエネルギーが必要
分子による生命活動には電子のエネルギーが必要です。
身体のあちこちのミトコンドリアでATP(アデノシン三リン酸)が合成され、すぐに筋肉など様々な活動のためATP中の電子のエネルギーが放出され、その結果、ADP(アデノシン二リン酸)となります。そして再びミトコンドリアにおいて、糖質・脂質・アミノ酸などが消化された栄養素と酸素を使って、ADPからATPが合成され、水と二酸化炭素が排出されます。この細胞呼吸のシステムも電子の受け渡しの過程で生じるエネルギーで稼働しています。
このように私達の身体は、電子をエネルギー伝達手段とする循環システムなのです。人生とは、このシステムの運動秩序の崩壊のプロセスとも言えますが、実は、私達の身体だけでなく、この世の中の様々な現象は、この循環システムの働きに依るものです。恐らく、このシステムの運動秩序は循環する宇宙そのものであり、私達が生きているという現象もその一環であると言えそうです。
まとめ
バランスのとれた食事・運動・ストレスコントロールに努め、できる限り宇宙の秩序に沿った生き方を模索する日々こそ、超高齢時代に相応しい生き方ではないでしょうか?(低エントロピー状態への回帰)。
(初出:ぎょうせい月刊「税」8月号)