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第21回 シン古典逍遥「悟りとは何か(4)」

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目次

  • ダークマターとは
  • 生命の誕生
  • まとめ

~悟りとは宇宙の秩序と繋がる深層意識を拓くことではないか~

 

聖書も、仏陀も、空海も、シュタイナーも、その思考は皆宇宙に及んでいます。

地球は宇宙の一部であり、地球上で起きることも宇宙の秩序の下にあるからだと思われます。

初期の宇宙は膨張を続けながら温度を下げていき、一定の素粒子から、陽子や中性子が創られ、やがて結合して原子核となります。さらに温度が下がると、飛び回っていた電子(素粒子の一つ)が原子核に引き付けられ原子が生まれ、電子をエネルギー伝達手段とする通常の物質世界が構築されていったのです。

一番簡素な原子である水素から様々な核融合反応を経て星(恒星)が誕生し、その内部で、水素・ヘリウム、酸素・炭素などに続き安定した鉄が創られます。私達生物の身体をはじめ、星や銀河、星間ガスなどを構成するのが、原子(原子核+電子)から成る通常の物質です。

 

 

ダークマターとは

 

さて、地球は太陽の周りを公転し、太陽系は天の川銀河の円盤の中心の周りを移動し、天の川銀河は全体として同じ方向に回転しています。銀河が円盤型構造に形成され、星が銀河から飛び出さないのは、銀河が球状のダークマターの中に浮かんでいるからだと言われています。

ダークマターとは、電磁波を出さず眼には見えないけれども、周囲に重力を及ぼす物質で、原子核と電子からなる通常の物質とは異なります。ただ、そのエネルギーは通常の物質を活用して目に見える宇宙の姿を形作る創造神の役割を果たしているのです。

一方、宇宙全体は加速膨張を続けています。重力とは逆の斥力が働いているのです。この斥力の源が、ダークエネルギーという空間エネルギーで、エントロピー増大の法則が働き、星を崩壊に導くのです。

宇宙はダークマターとダークエネルギーの綱引きの場かもしれません。重い星が爆発を起こして様々な元素が宇宙空間にばらまかれると、それらは再び集まって新しい恒星となり、その周囲に惑星が生まれます。その一つが太陽と地球であり、私達の身体を構成する炭素・酸素・カルシウム・鉄などの元素も、すべて星のかけらに由来します。

 

 

生命の誕生

 

生命の誕生には、炭素を骨格とする化合物であるアミノ酸などの有機物が必要です。地球上の生命は、地球に降り注いだ小天体に含まれていた有機物を材料に使うことで非常に短期間に誕生したようです。

南極では、隕石からDNAを構成する分子であるアデニンとグアニンが見つかっており、これらは地球外でできたことが確認されているのです。私達は実は宇宙人と言えるのです。

宇宙のエネルギー密度で言うと、ダークマターが約27%、ダークエネルギーが約68%を占め、私達が知っている物質世界の割合は5%程度しかないようです。膨大な目に見えないエネルギーの中で、物質が生まれ、星を作り、銀河を作るのですが、その過程で星は崩壊し、そのばら撒かれた元素から新しい星や私達のような生物も生まれるという循環が宇宙の秩序なのです。

私達の眼や耳などの感覚器官が把握する世界は、通常の物質の集合物の認知を電気信号に変換して脳で映像化したものに過ぎません。私達の感情も、経験に照らした反射反応による脳内の電気信号です。このような電子をエネルギーの伝達媒体とした日常が私達の表層意識の世界なのです。

感覚器官や感情からの電気信号が映じる表層意識の世界だけを生きているとすれば、人間も動物一般と根本的に変わるところはないかもしれません。しかし、人間は文化を育み、文明を構築するといった創造力に溢れています。愛という利他心により献身すらできるのも人間です。ここに、人間の人間たる所以があるのかもしれません。

 

 

まとめ

 

眼に見えないダークマターやダークエネルギーによる創造と破壊(献身)の宇宙エネルギーの綱引きによって形成されている場において、様々に原子や分子に変化する素粒子が、多様な集まりとして生成され分散しています。

私達人間も素粒子の一時的な集まりとして、この場に存在している宇宙事象の一部であり、私達の潜在意識はこの宇宙エネルギーの場と繋がっているものと思われます。

一方、人間が生老病死を繰り返している目に見える物質世界を表層意識が捉えています。私達は二重の存在なのです。しかし、目に見える日常の中で深層意識は埋もれがちです。

修行とは、表層意識の一時的な自分が本物なのか、深層意識の不滅の自分が本物なのかを問うていくことによって、本当の実在の世界を求める日々の作業ではないでしょうか。

 

(初出:ぎょうせい月刊「税」8月号)

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