HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第24回 究極のストレスコントロールに向けて

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「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉がありますが、これはラテン語の原文の誤訳だそうです。

怒り、不安、妬みなどのマイナスの感情が大いに健康を害することは明らかで、健全な肉体のためにもストレスコントロールが求められる所以です。

 

 

怒りや不安などの感情

 

 

外部からの刺激に対して怒りや不安などの感情が生じると、私の場合、自律神経が集まっている鳩尾(みぞおち)辺りが苦しくなります。ここで感情に着目すると、自分が怒っているのではなく、怒りという感情の現象が発生しているなあ、と観察できます。怒りなどの感情も、これまでの記憶や悪い習慣の反射効果に過ぎない場合が多いので、記憶の上書きに努めるのですが、坐禅のような姿勢で骨盤を立ててくると鳩尾の「もやもや」とともに感情も消えてしまう経験ができて助けられています。

不安については、心臓手術の際に貴重な体験をしました。事前に「術式」の説明を受けたところ、家人は不安で食事も喉を通らないほど心配しました。ただ、私には不安が湧いてこなかったのです。胸骨を切開して左右に広げ、心肺を停止させて大動脈弁と上行大動脈を取り替えるという術式の内容は、私には大きすぎたのです。医療スタッフを信頼し、神に委ねるしかありませんでした。すると、不思議なことに幸福感すら生じたのです。

振り返ると、私の人生は不安続きでした。的中した不安も多々ありました。けれども、今は気分よく日々を送っています。あの不安や悩みは必要なかったのではないか。自分が受け入れたくないものを不安として拒んでいたのかもしれません。私の我が儘と言うべきものも多かったように思います。

 

 

まとめ

 

これからも「死」をはじめ不安の種は尽きません。

ただ、どんなに不安を感じても受け入れるしかないものがあります。

受け入れたくないという感情のストレスの方が問題で、受け入れてしまえば何とかなるようにも思います。

そう思うと、人生は楽しめるものかもしれません。

 

(初出:ぎょうせい月刊「税」10月号)

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猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)