HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

超高齢時代をどう生きるか~あなたに届けるキーワード~

第38回 重力を利用して美しく楽に歩く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

美しく歩く」とは、背筋が伸びてスラっとして、肩の力を抜いて胸を張り気味に歩くといったところでしょうか。

背筋を伸ばすポイントは、背骨の下半分で、みぞおちから骨盤の間にある5個の腰椎です。この腰椎をグーッと前に出してまっすぐ立てることを「腰骨を立てる」と呼んで、坐禅や武道に於いて非常に重要視されてきました。腰椎のラインの辺りが重心なのです。頭から出ると腰が後ろに残り、腰から出ようとすると仰け反ってしまいます。そこで、グーッと腰椎を前に運ぶことで、重心移動によって身体全体が無理なく前進できるのです。

 

 

「楽に歩く」とは

 

 

腰骨が立つと、肩の力が抜けて左右の肩甲骨が背中側に寄って、胸を張った感じになります。逆に腰骨が後ろに緩むと、猫背になり、肩甲骨も内側に閉じてしまい前かがみの姿勢になってしまうのです。腰が曲がるリスクの始まりです。

左右の骨盤の間には仙骨があり、その仙骨の上に腰椎が載っています。スラっと伸びた背筋の真下には、足の指の付け根辺り(母指球)が来ます。地球の重力に引っ張られた私達の身体は、全体重として母指球を通して地球と押し合います。右足を前に出す場合には、母指球からの地面反力が、左踵⇒左股関節⇒左骨盤⇒仙骨とその上の腰椎と無駄なく連動することで、私達の身体は楽に前進し、仙骨が前に出ると右足が前に振り出されます。

このように歩くと、左右の骨盤の真ん中の仙骨を支点に、両サイドの骨盤も足の一部のように動きますので、実質的に足を長く使い、お尻の筋肉である大殿筋を適切に鍛えることになるようです。さらに、股関節周りの筋肉も柔らかく血流も良くなり、大殿筋とともに腿裏のハムストリングスという大切な筋肉も鍛えられます。美しく楽に歩くことで必要な筋肉トレーニングにもなります。

 

 

まとめ

 

このような歩き方は、地球の重力の中で、私達の身体が本来的に想定した機能を果たすことに他なりません。そのことが武道の極意であり、モデル歩きの秘訣なのです。

 

(初出:(株)ぎょうせい月刊「税」5月号)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
猿渡 知之

猿渡 知之(さるわたり ともゆき)

大正大学地域構想研究所 客員教授

経歴

1961年 熊本県出身
1985年 東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)入省
2020年 総務省退職後、株式会社日本経済研究所理事を経て、東日本電信電話株式会社特別参与(現在)

総務省での主な地域政策業務歴

自治政策課理事官・企画官(2001年4月~2003年8月)
高度通信網振興課長(2009年4月~2011年3月)
地域政策課長(2012年4月~2015年7月)
地方創生・地域情報化等の担当審議官(2015年7月~2018年7月)

自治体での勤務歴

京都府総務部長・副知事(2003年8月~2009年3月)をはじめ、青森県庁、栃木県庁、千葉県庁、大阪府庁において勤務

主な著書

「超高齢時代を乗り切る地域政策~地域政策構想技術リスキリングノート~」(大正大学出版会2023年)
「超高齢時代を乗り切る地域再生の処方箋」(ぎょうせい2022年)
「自治体の情報システムとセキュリティ」(学陽書房2019年)
「公的個人認証のすべて(共著)」(ぎょうせい2003年)