食薬の配合
食薬を単品で使うことは少なく、ほとんどの場合、2種類以上を同時に使います。薬膳茶を作るときも同じです。食薬を配合すると互いに作用し合う関係が生まれます。これを「配伍七(はいごしち)情(じょう)」(配伍は配合のこと) といいます。食薬を実際に使う際には、この七情の関係に注意する必要があります。
配伍七情
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配伍七情 |
意味 |
配合例 |
1 |
単行(たんこう) |
単味の食薬を使用すること |
単一の茶葉でいれる緑茶や紅茶など 単一の中薬でいれる吉(きつ)林(りん)人参(にんじん)茶や玫瑰(まいかい)花(か)(バラの花)茶など |
2 |
相須(そうす) |
同じ効能をもつ食薬を合わせることにより、相乗効果が生まれること |
菊花(きっか)+薄荷(はっか)=夏の熱を取る薬膳茶になる 南瓜+じゃが芋=補(ほ)気(き)の効果を高め、風邪予防の薬膳茶になる 百合(ゆり)根(ね)+麦門(ばくもん)冬(どう)=肺を潤す効果を高める |
3 |
相使(そうし) |
補佐薬が主薬の効果を増加すること |
肉桂(にっけい)(主薬:身体の冷えを緩和するために使う辛味・熱性の中薬)+紅茶(補佐薬)=紅茶が肉桂の働きを高める 生姜(しょうきょう)(主薬:身体を温める)+黒砂糖(補佐薬)=生姜を黒砂糖と一緒に煎じると、生姜の働きを高める |
4 |
相殺(そうさつ) |
ある食薬がほかの食薬のマイナスの作用を消したり、軽減すること |
普洱(ぶーアール)茶+菊花(きっか)=温性の普洱茶が菊花の微寒を軽減する |
5 |
相畏(そうい) |
相殺の裏返しの関係で、ある食薬のマイナスの作用がほかの食薬によって消されたり、軽減・緩和すること |
普洱茶+菊花=ダイエットによく使う温性の普洱茶が身体を熱くするのを、微寒の菊花が軽減する |
6 |
相(そう)反(はん) |
2種類以上の食薬を合わせることにより、副作用が生じること |
柿と茶を一緒にとると、便秘を引き起こす |
7 |
相(そう)悪(お) |
2種類以上の食薬を合わせることにより、作用が低減したり、無効になったりすること |
山楂子(さんざし)+吉林人参 消食類の山楂子は消化を促進し、宿食を取り除く。しかし身体を強壮する作用をもつ吉林人参を合わせることで、互いの「消す」働きと「補う」働きが拮抗し、どちらの作用も軽減され、相性がよくない |
参考文献
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019