HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医療

第七三回東洋医学療法の紹介コラム56薬膳茶⑤中国茶の分類の二

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六大茶類の二

 

 

二と三、白茶と黄茶

 

白茶と黄茶は緑茶に近い品種のため、緑茶と同じように使うことができます。

中国茶の中でも貴重とされる白茶の代表は白毫(ハクゴウ)銀(ギン)針(シン)です。ガラスの茶器で、白毫(芽を覆っている白い繊毛)が湯に溶けてキラキラと舞っているのを鑑賞します。北宋(ほくそう)の徽(き)宗(そう)皇帝が愛飲した茶としても有名で、白茶のなかで最も高貴な茶とされています。

黄茶は軽く発酵した黄色い茶葉が特徵で、君山(クンザン)銀(ギン)針(シン)がその代表格です。

 

四、自然発酵で温性になった普洱茶

 

後発酵製法で数カ月以上発酵させて作られる黒茶の代表格は普洱(プーアール)茶(チャ)です。

普洱茶の有名な産地は雲南省の山奥にある西双版納です。交通が不便なため、茶葉を馬に乗せて何日もかけて集積地の普洱県に運んだそうです。そのため茶葉が運ばれる間に自然に発酵が進み、それが黒茶となりました。普洱茶は、発酵期間が長くなるほど味がまろやかになり、独特の風味が生じるようになります。長期間にわたる発酵のために、茶葉の性質が温性に変わり、冬の季節、冷え症、寒がりの体質におすすめの茶です。また脂肪分解作用も強いので、ダイエットにもよく使われています。

七子(ななこなま)餅(もち)茶(ちゃ)・沱(だ)茶(ちゃ)・圆(えん)茶(ちゃ)なとの種類があります。

 

五、発酵の程度が最も強い紅茶

 

世にいう世界三大紅茶とは、中国の祁門(キ一ムン・キ一マン)、インドのダ一ジリン、スリランカのウバを指しています。イギリスのお土産としても紅茶がよく使われます。茶葉を摘んでから萎凋(いちょう)・揉捻(じゅうねん)・発酵などの工程を経て、十分に発酵・乾爍(かんれき)させますが、現在はほとんどの作業が機械化されています。

中国の祁門(キームン)紅茶は安徽省のよい環境で作られ、香りが高く甘みもあって渋みが少ないため、ストレ一トで飲むかミルクティ一にします。

正山小種・雲南紅茶・英德紅茶などの種類があります。

 

六、普及した烏(ウー)龍(ロン)茶

 

烏龍茶は、茶葉が発酵過程で銀青色になるため「青茶」ともよばれています。その代表が鉄観音です。清の乾隆帝がこの茶を飲んで「茶葉は鉄のように重く、その美しさは観音のようだ」と絶賛したというのが名前の由来の一説となっています。

鉄観音の茶葉は分厚く、緑色でつやがあり、香ばしい匂いが広がります。飲むと葉に隠れていた甘い香りがしばらく口のなかに残るほどで、極品銘茶約300年の歴史を誇っています。中国で国賓に送る茶は、福建省南部の安渓市産の鉄観音だそうです。

鉄観音などの烏龍茶は半発酵茶なので、温性にも涼性にも片寄らない性質が特徵です。そのため誰でも飲みやすく、福建省、広東省、台湾などでよく飲まれています。

日本では1980年代に缶入りの烏龍茶が発売され、茶の飲み方に革命的な変化を起こしました。それまで温かくして飲んでいた茶が水のように便利に飲めるようになり、さらに茶の普及を促すことになったのです。

武夷岩茶・武夷肉桂・閩(みん)北(ぽく)水仙などの種類があります。

 

 

参考文献

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長