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医療

第八十回東洋医学療法の紹介コラム63薬膳茶⑫薬膳茶の理論的根拠3-七情と瘀血の特徴

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薬膳茶の理論的根拠

 

 

 

 

七情の特徵

 

人間には、怒・喜・憂・思・悲・恐・驚の7種類の感情があり、七情といわれます。多様な情緒活動は、通常、外界の刺激に対する脳の働きや神経の反応であり、疾病の要因にはなりません。しかし、突然外部から強く不快な刺激を受けるか、あるいは長時間にわたり精神的な刺激を受け続けると、身体が保っている安定した状態が乱されます。すると興奮あるいは躁うつのような感情の過剩な状態となって気を傷め、五臓の働きを乱し、疾病が生じます。

 

臓腑に影響する

 

七情は体内で生まれた邪気であり、直接臓腑に影響し、臓腑の気の昇降出入に異常をもたらし、疾病が生じます。怒りは肝を、大きな喜び・驚きは心を、思い込みは脾を、悲しみ・憂いは肺を、恐怖·・驚きは腎を傷めるとされています。

 

 

気機に影響する

 

 

気機とは気の運動を指し、主に昇・降·出・入の形で活動しています。多くの病気は気から生じます。怒ると気が上る、喜ぶと気が緩む、思うと気が結ぶ、悲しむと気が消える、恐れると気が下がる、驚くと気が乱れるというように、七情の気機に対する影響が考えられています。

感情

喜・驚

思・憂

悲・憂

恐・驚

傷める五臓

気機への影響

気上

気緩・気乱

気結・気消

気消

気下・気乱

 

 

 

瘀(お)血(けつ)の特徵

 

 

加齢、臓腑機能の失調、けが、邪気などが原因で、血の流れが緩慢になることを「血瘀状態」といい、疾病の原因になります。血が濃くなり、臓腑・組織・経絡·血管内に滞り、あるいは詰まってしまう状態の固まりを「瘀血」といい、病的な産物で病気の原因となります。

 

瘀血の4大特徵

疼痛

針で刺すような痛み。固定痛、触ると痛みが増す。温めるとよくなる

紫紺

色が黒っぽい。颜色・爪が青黒い、あざ、局部の青・黒色の斑点

腫塊

固まり。生理出血の固まり、皮下出血の固まり、筋腫・腫瘤など

出血

生理不順などの不正出血。血尿・血便・喀血・吐血・内臓の出血・皮下出血

 

このような中医学の基本、身体に対する考え方を理解して私たちの生活に取り入れることで、季節・年齡・体調などの素因に合わせて病気を予防することも可能です。

体調の良・不良を観察して、自分に合う薬膳茶を飲むことにより、健康の維持に努めましょう。

 

 

 

参考文献

 

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

 

 

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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長