辛(しん)涼(りょう)解表類(げひょうるい)②
菊(きっ) 花(か)――キク科 性味 微寒、辛・甘・苦 帰経 肺・肝 常用量3~9g
期待される効能
- 疏散風熱(そさんふうねつ):外感風熱邪気による体表の発熱・頭痛・咳・のどの痛み
- 平(へい)抑(よく)肝(かん)陽(よう)・清(せい)肝(かん)明目(めいもく):風熱邪気・肝火旺盛による目の充血・かすみ目・めまい・頭痛
- 清熱(せいねつ)解毒(げどく):熱による吹き出物・皮膚の赤み・腫れ
菊花には、色により白菊花・黄菊花、産地により杭州の杭菊花・安徽(あんき)の滁菊花などの名前があります。疏散風(そさんふう)熱(ねつ)には黄菊花、清(せい)肝(かん)明目(めいもく)には白菊花、清熱(せいねつ)解毒(げどく)には野菊花というように使いわけがあります。
薄(はっ) 荷(か)――シソ科 性味 涼、辛 帰経 肺・肝 常用量1~6g
期待される効能
- 疏散風熱(そさんふうねつ):風熱邪気による体表の発熱・軽い悪寒頭痛
- 清(せい)利(り)頭目(とうもく):風熱邪気が頭部に侵入することによる目の充血・淚・頭痛・めまい
- 利咽透疹(りいんとうしん):風熱邪気によるのどの痛み・風疹のかゆみ・麻疹の透発(毒素を外に出すこと) が不十分なとき
- 疏(そ)肝(かん)行(こう)気(き):肝気鬱桔による胸脇部の張り・ため息,生理不順
注意 乾燥した薄荷をよく使う。新鮮な未乾燥の葉を取り過ぎると、胃痛・吐き気を伴う不快感、舌のしびれが生じる。
葛(かっ)根(こん)――マメ科 性味 凉・甘・辛 帰経 脾・胃 常用量6~15g
期待される効能
- 解肌退熱(げきたいねつ)・透疹(とうしん):外感邪気による体表の発熱・無汗,頭痛,首と背部の疼痛・鼻の乾燥・目の痛み・麻疹や風疹の透発が不十分なとき
- 昇(しょう)陽(よう)止(し)瀉(しゃ):脾虚下痢・湿熱下痢
- 生津止渇(しょうしんしかつ):風熱邪気によるのどの渴き・多飲・陰液不足による消渴(多食・多飲・多尿・瘦せ)
清熱類(せいねつるい)①
苦瓜(にがうり)――ウリ科 性味 寒、苦 帰経 心・睥・胃 常用量 好みでよい
期待される効能
- 清暑止渴(せいしょしかつ):熱病による発熱・のどの渴き・汗をかきやすい・熱射病
- 清肝明目解毒(せいかんめいもくげどく):熱による口の苦み・目の赤み・皮膚の腫れと赤み
注意
- 冷え症の人や寒い季節には摂取量を控える。
- 多食すると血糖値が下がるので、低血糖には注意する。
緑豆(りょくず)――マメ科 性味 寒、甘 帰経 心・胃 常用量 15~30g
期待される効能
- 清熱解毒(せいねつげどく):暑熱による強いのどの潟き・嘔吐・痢疾(赤痢・白痢などの伝染病)・食中毒・薬物の中毒
- 消暑利水(しょうしょりすい):暑熱によるむくみ・急性の泌尿器感染
キウイフルーツ――マ夕タピ科 性味 寒、酸 帰経 腎・胃 常用量 好みでよい
期待される効能
- 解熱止渴(げねつしかつ):発熱・精神不安・のどの渴き
- 降逆和胃(こうぎゃくわい):熱による食欲不振・消化不良
注意
- 冷え症の人や寒い季節には多食は控える。
- 気虚で生理時に出血量が多いときは多食を避ける。
- 糖尿病の人は量に注意する。
参考文献
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019