HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

第八十五回東洋医学療法の紹介コラム68薬膳茶⑰目的別・薬膳茶に使う食薬ー清③

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

清熱(せいねつ)類②

 

西瓜(すいか)――ウリ科 性味 寒、甘 帰経 心・胃・膀胱 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱解暑(せいねつかいしょ):暑熱による身熱・汗・目の赤み・腫れ・痛み・のどの痛み

② 除煩止渴(じょはんしかつ):のどの渴き・口内炎

③ 利尿通淋(りにょうつうりん):排尿の熱感・尿量が少ない・尿の色が濃い・血尿

注意

① 冷え症の人や寒い季節には多食は控える。

② 糖尿病の人は量に注意する。

 

 

メロン――ウリ科 性味 寒、甘 帰経 心・脾・胃・肺・大腸 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱祛(せいねつきょ)署(しょ)・解煩止渴(かいはんしかつ):熱病による渴き・精神不安・口と鼻のできもの・歯痛

② 祛湿(きょしつ)止痛(しつう)・利尿消腫(りにょうしょうしゅ):湿による四肢麻痺・腰痛・尿が濃い・排尿痛・むくみ

③ 清熱排(せいねつはい)膿(のう):口臭・便秘

注意

① 子供や妊婦はメロンを冷やさず、室温で少量摂取する。

② 糖尿病の人は量に注意する。

 

板(ばん)藍(らん)根(こん)アブラナ科  性味 寒、苦  帰経 心・胃 常用量 6~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):温熱病による発熱・頭痛・斑疹・癰腫瘡毒(ようしゅそうどく)(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)

② 涼(りょう)血(けつ)利(り)咽(いん):のどの腫れ・痛み

注意

脾胃虚寒には慎重に用いる。

 

金銀(きんぎん)花(か)――スイカズラ科 性味 寒、甘 帰経 肺・心・胃 常用量 3~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):あせも・癰腫瘡毒(ようしゅそうどく)(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)・赤痢

② 疎散風熱(そさんふうねつ):外感風熱・温病初期の発熟・微悪風寒・のどの渴き・腫れ・痛み

注意

脾胃虚寒と慢性瘡瘍(腫瘍・潰瘍・ひ爛)の人には禁忌。

 

蒲公英(ほこうえい)――キク科 性味 寒、苦・甘 帰経 肝・胃 常用量 6~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):熱毒による癰腫瘡毒(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)・膿痰・咳・胸痛(肺癰(はいよう))

② 消腫散結(しょうしゅさんけつ):熱毒によるのどの腫れと痛み

③ 利湿通淋(りしつつうりん):湿熱による黄疸・排尿痛

注意

多量に摂取すると下痢をすることがある。

 

芦(ろ) 根(こん)――イネ科 性味 寒、甘 帰経 肺・胃 常用量 15~30g 新鮮品(未乾燥)30~60g

 

期待される効能

① 清熱瀉(せいねつしゃ)火(か):熱病による発熱・肺熱による咳・膿痰・黄色い痰

② 生津止渴(しょうしんしかつ):津液不足によるのどの渴き

③ 除煩止嘔(じょはんしおう):熱病によるいらだちを伴う熱感・胃熱による嘔吐

④ 清熱(せいねつ)利尿(りにょう):熱による排尿痛・排尿不調

 

竹(ちく) 葉(よう)――イネ科 性味 寒、辛・甘・淡 帰経 心・胃・小腸 常用量 3~9g、鲜葉は15~30g

 

期待される効能

① 清熱瀉火除煩(せいねつしゃかじょはん):熱病によるいらだちを伴う熱感・のどの渴き・口内炎

② 生津(しょうしん)利尿(りにょう):熱病による排尿の熱感・排尿痛・血尿

卷いたままの幼葉は「竹葉卷心(竹葉心)」とよばれます。

 

淡(たん)竹葉(ちくよう)――イネ科 性味 寒、甘・淡 帰経 心・胃・小腸 常用量 6~9g

 

期待される効能

① 清熱瀉火除煩(せいねつしゃかじょはん):熱病によるいらだちを伴う熱感・のどの渴き・口内炎

② 清熱(せいねつ)利尿(りにょう):熱病による排尿灼熱感・排尿痛

注意

① 長時間煎じないようにする。

② 妊婦には慎重に使う。

 

参考文献:

1) 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003

2) 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008

3) 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

4) 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017

5) 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長