HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

第八十六回東洋医学療法の紹介コラム69薬膳茶⑱目的別・薬膳茶に使う食薬ー清④

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清熱(せいねつ)類③

 

夏枯(かこ)草(そう)――シソ科 性味 寒、辛・苦 帰経 肝・胆 常用量 9~15g

 

期待される効能

① 清熱瀉(せいねつしゃ)火(か)明目(めいもく):肝(かん)火上炎(かじょうえん)(肝の熱) による目の赤み・腫れ・痛み・頭痛・めまい

② 散結消腫(さんけつしょうしゅ):肝火・痰火による瘰癧(るいれき)(リンバ節の腫れ)・癭(えい)瘤(りゅう)(甲状腺の腫れ)・乳廱腫痛(にゅうようしゅつう)(乳腺の急性化膿症)

注意

脾胃虚寒の人には慎重に用いる。

 

山栀子(さんしし)――アカネ科 性味 寒、苦 帰経 心・肺・三焦 常用量 3~10g

 

期待される効能

① 瀉火除煩(しゃかじょはん):熱証による精神不安・汗をかきやすい・のどの渇き

② 清熱利湿(せいねつりしつ):肝胆湿熱による黄疸・発熱黄色い痰・尿の色が濃い・尿が少ない

③ 凉(りょう)血(けつ)解毒(げどく):熱証による出血・皮膚の化膿性疾患・目の赤み・腫れ・痛み

注意

脾胃を損傷しやすいので、脾虛の軟便・下痢に禁忌。

 

生地(しょうじ)黄(おう)(乾地(かんじ)黄(おう))――ゴマノハグサ科  性味 寒、甘・苦  帰経 心・肝・腎 常用量 10~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)涼(りょう)血(けつ):温熱病による発熱・のどの渴き・斑疹・吐血・鼻血・血尿・皮下出血・不正出血

② 養(よう)陰生津(いんしょうしん):陰液損傷による舌の赤み・口の乾燥・強いのどの渇き・多飲・尿が少ない・便秘

注意

脾虚有湿で腹满、泥状便を呈するときは用いない。

 

馬歯莧(ばしけん)――スベリヒユ科 性味 寒、酸 帰経 肝・大腸 常用量 9~15g(新鲜品30~60g)

 

期待される効能

① 清熱解毒止痢(せいねつげどくしり):大腸湿熱による赤痢・下痢・腹痛

② 凉(りょう)血止(けつし)血(けつ):肝熱による不正出血・血便・痔の出血

 

 

白花(びゃくか)蛇(じゃ)舌(ぜつ)草(そう)――ア力ネ科 性味 寒、微苦・甘 帰経 胃・大腸・小腸 常用量 15~60g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):熱毒による廱腫瘡毒(ようしゅそうどく)(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)・のどの腫れ・痛み・毒蛇の咬傷

② 利湿通淋(りしつとつうりん):膀胱湿熱による排尿痛・頻尿

 

 

トマト――ナス科 性味 微寒、甘・酸 帰経 肝・脾・胃 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 生津止渴(しょうしんしかつ):熱病による強いのどの渇き

② 健胃消食(けんいしょうしょく):食欲不振,消化不良

注意

① きゅうりと一緒に食べない。

② 身体を冷やすので、冷え症の人や寒い季節には注意する。

③ 軟便・腹痛時は症状を悪化させる可能性があるため多食を避ける。

 

連翹(れんぎょう)――モクセイ科 性味 微寒、苦 帰経 肺・心・小腸 常用量 3~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):外感風熱・温病初期の発熱・頭痛・のどの渴き

② 消廱散結(しょうようさんけつ):熱毒によるのどの腫れと痛み・廱腫瘡毒(ようしゅそうどく)(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)

③ 疏散風熱(そさんふうねつ):外感風熱・温病初期の発熱・微悪風寒・のどの渴き・腫れ・痛み

注意

脾胃虚寒と慢性瘡瘍(腫瘍・潰瘍・び瀾)の人には禁忌。

 

魚腥(ぎょせい)草(そう)――ドクダミ科 性味 微寒、辛 帰経 肺 常用量 6~15g、新鮮品(未乾燥)は倍量

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく)・消廱排(しょうようはい)膿(のう):肺廱(はいよう)(肺の急性化膿性疾患)・肺熱による咳・咳血・膿痰、皮膚の化膿性疾患

② 利尿通淋(りにょうとつうりん):湿熱による排尿痛・排尿の熱感・血尿・排尿困難

注意

長時間煎じてはいけない。

 

 

参考文献:

1)関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003

2)辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008

3)平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

4)辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017

5)仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長