HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

第八十七回東洋医学療法の紹介コラム70薬膳茶⑲目的別・薬膳茶に使う食薬ー清⑤

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加味逍遙散

 

 

清熱(せいねつ)類④

 

牡丹皮(ぼたんぴ)――ボタン科 性味 微寒、苦・辛 帰経 心・肝・肾 常用量 3~12g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)涼(りょう)血(けつ):温病による発熱(特に夜間)・寝汗・無汗・斑疹・出血・皮膚の化膿性疾患

② 活血散瘀(かっけつさんお):生理痛・閉経・打撲の瘀血疼痛

注意

妊婦や生理過多に用いない。

 

決(けつ)明子(めいし)――マメ科 性味 微寒、甘・苦・鹹 帰経 肝・大腸 常用量 10~15g

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)明目(めいもく):肝熱による頭痛・めまい・目の赤み・腫れ・痛み・かすみ目・目の疲れ・淚が多い・視力低下

② 潤(じゅん)腸通便(ちょうつうべん):大腸乾燥による便秘

注意

① 下痢、低血圧には禁忌。

② 潤腸通便には、長時間煎じると効果がなくなる。

 

天花粉(てんかふん)――ウリ科  性味 微寒、甘・微苦  帰経 肺・胃 常用量 10~15g

 

期待される効能

① 清熱瀉(せいねつしゃ)火(か)・生津止渴(しょうしんしかつ):熱による強いのどの渴き・空咳・血痰

② 消腫排(しょうしゅはい)膿(のう):熱毒による癰腫瘡毒(ようしゅそうどく)(皮膚・乳腺・腸の急性化膿性疾患)

 

茶(ちゃ) 葉(よう)――ツバキ科 性味 涼、苦 帰経 心・肺・胃 常用量  1~3g

 

期待される効能

① 清(せい)利(り)明目(めいもく):熱による頭痛・めまい・目の赤み

② 生津止渴(しょうしんしかつ):熱による強いのどの渴き・暑がり

③ 消食止痢(しょうしょくしり):過食による消化不良・下痢

④ 利尿消腫(りにょうしょうしゅ)解毒(げどく):膀胱湿熱による排尿不調・血尿・むくみ・下痢

 

 

小麦(こむぎ)――イネ科 性味 涼、甘 帰経 心・脾・腎 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱除煩(せいねつじょはん):熱による顔の赤み・吹き出物・舌尖の痛み・のどの渴き・ロ内炎・尿の色が濃い

② 養(よう)心(しん)安神(あんしん):心熱による躁うつ・動悸・精神不安・不眠症

③ 補益脾(ほえきひ)胃(い):脾胃虚弱による下痢

 

浮(ふ)小麦(しょうばく)――イネ科 性味 涼、甘 帰経 心 常用量 9~30g

 

期待される効能

益気除熱止(えききじょねつし)汗(かん):気虛の気温に関係なくかく汗・陰虛の寝汗・微熱・ほてり・のほせ

小麦の未熟な実で、水中に投じたときに浮いてくるものです。

 

大麦(おおむぎ)――イネ科 性味 涼、甘・鹹 帰経 脾・胃 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)和中(わちゅう):胃熱による熱感・のどの渴き・食欲不振・下痢・便秘

② 利尿通淋(りにょうつうりん):排尿不調・排尿痛

注意

冷え症、脱水症状がみられるときには多食を控える。

 

セロリ――セリ科 性味 涼、甘・辛 帰経 肺・胃 常用量  好みでよい

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)利尿(りにょう):風邪・熱邪・湿邪による発熱・咳・黄疸・むくみ

② 凉(りょう)血止(けつし)血(けつ):熱による皮下出血・血尿

 

きゅうり――ウリ科 性味 涼、甘 帰経 脾・胃・大腸 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱(せいねつ)解毒(げどく):熱病による強いのどの渴き・のどの腫れや痛み

② 利水消腫(りすいしょうしゅ):熱によるむくみ・下痢

③ 潤(じゅん)膚(ふ)美容(びよう):熱による皮膚の赤み・乾燥

注意

① トマトと一緒に食べない。

② 身体を冷やすので、冷え症の人や寒い季節には注意する。

 

りんご――バラ科 性味 涼、甘・微酸 帰経 脾・胃 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱生津(せいねつしょうしん)潤(じゅん)肺(はい):暑熱による発熱・のどの渴き・空咳・二日酔い

② 止瀉通便(ししゃつうべん):消化不良・慢性下痢・便秘

注意

① 糖尿病の人は量に注意する。

② 脾胃虚寒者は加熱してから食べる。

 

マンゴー――ウルシ科 性味 涼、甘・酸 帰経 脾・胃 常用量 好みでよい

 

期待される効能

① 清熱止瀉止嘔(せいねつししゃしおう):いらだちを伴う熱感・のどの渴き・吐き気・嘔吐

② 清熱(せいねつ)利尿(りにょう):排尿不調・排尿痛

注意

① 寒い季節や冷え症、糖尿病の人は量に注意する。

② 腎炎の人は多食を避ける(アレルギ一を引き起こし、悪化する可能性がある)。

③ 食事の直後に大量に食べると、黄色い色素が沈着して顔色が黄色くなるなど黄疸に似た症状を起こす可能性がある。

 

荷(か) 葉(よう)――スイレン科 性味 平、苦・渋 帰経 脾・腎 常用量 3~10g

 

期待される効能

① 消暑利湿(しょうしょりしつ):暑邪による頭痛・胸のつかえ・のどの渴き・熱射病・むくみ・下痢

② 昇(しょう)陽(よう)止血(しけつ):脾虚による慢性下痢,各種出血

 

 

参考文献:

1) 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003

2) 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008

3) 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

4) 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017

5) 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長