HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

第九十回東洋医学療法の紹介コラム73薬膳茶㉓目的別・薬膳茶に使う食薬ー泄①

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目的別・薬膳茶に使う食薬ー泄①

 

便と尿の排泄を促進し、

便秘・下痢・むくみ・排尿不調などの症状を改善します。

 

瀉下類(しゃげるい) 便通をよくする

 

健康を維持するためには毎日順調に排便することが大切ですが、実際には便秘になってしまうこともあります。便がたまると毒素を体内から排泄できなくなり、長期間にわたると頭痛・めまい・口臭・皮膚のかゆみ・赤み・咳・喘息・腹部の張り・ガスの貯留・腹痛などの自家中毒の症状を引き起こします。ひどくなるとがんにもつながり、身体に害を及ぼすため、排便を促さなければいけません。胃腸の動きをよくし、排便を促進する食薬を瀉下類とよびます(瀉下類以外でも便通をよくする食薬があります)。

 

 

利水滲湿類(りすいしんしつるい) 水を排泄させる

 

体内に停留する余分な水を排泄させ、むくみ・痰・めまい・排尿痛・血尿・排尿不調・下痢などの症状を緩和する食薬です。この類の食薬は利尿によって脾の運化の働きを助け、消化機能を高めることもできます。

 

瀉下類(しゃげるい)

 

バナナ——バショウ科 性味 寒・甘 帰経 胃・大腸 常用量 好みでよい

 

期待される効能

清熱(せいねつ)潤(じゅん)腸(ちょう)解毒(げどく):熱による便秘・強いのどの渇き・咳・のどの腫れと痛み

 

注意

寒い季節や冷え症・下痢しやすい人は摂取量を控える。

 

蘆薈(ろかい) ——ユリ科・アロエ科 性味 寒・苦 帰経 肝・大腸・胃 常用量 1〜2g

 

期待される効能

①瀉下通便(しゃげつうべん):熱による便秘

②清肝除煩(せいかんじょはん):肝経実熱による頭痛・めまい・口の苦み・焦燥・不眠

③殺虫療疳(さっちゅうりょうかん):腸の寄生虫による痩せ・腹痛・顔色萎(い)黄(おう)(黄色っぽく光沢がない)・皮膚病

 

番瀉(ばんしゃ)葉(よう) ——マメ科  性味 寒・甘・苦  帰経 大腸 常用量 1.5〜3g

 

期待される効能

瀉下通便(しゃげつうべん):熱による便秘・腹水と腹部の張り

 

注意

生理期間(出血量が増える)・妊婦(流産することがある)・授乳期(子供に影響する)は禁忌。

 

パイナップル ——パイナップル科  性味 微寒・甘・微酸  帰経 胃・膀胱 常用量 好みでよい

 

期待される効能

①清熱通便(せいねつつうべん)利尿(りにょう):熱による便秘・むくみ・排尿不調

②清熱(せいねつ)解暑(げしょ):熱によるのどの渇き・吐き気・嘔吐・食欲不振

 

注意

食べ過ぎると口内が荒れ、ひどくなると出血する。

 

はちみつ(補(ほ)気類(きるい)) ——節足動物ミツバチ科  性味 平・甘  帰経 肺・脾・大腸 常用量 好みでよい

 

期待される効能

①潤(じゅん)腸通便(ちょうつうべん):大腸乾燥による便秘

②潤肺止(じゅんはいし)咳(がい):肺の乾燥による痰のない空咳

③補中(ほちゅう)緩急(かんきゅう)止痛(しつう):脾胃虚弱による胃と腹部の痛み

④解毒(げどく):トリカブトの中毒

 

注意

湿熱痰滞で胸が苦しいときは用いない。

 

無花果(いちじく) ——クワ科  性味 平・甘  帰経 脾・肺・大腸 常用量 好みでよい

 

期待される効能

①潤(じゅん)腸通便(ちょうつうべん):大腸の乾燥による便秘・痔の腫れ

②潤(じゅん)肺(はい)利(り)咽(いん):のどの痛み・声嗄(が)れ

 

参考文献:

1)関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003

2)辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008

3)平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

4)辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017

5)仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長