HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

第九十二回東洋医学療法の紹介コラム75薬膳茶㉕目的別・薬膳茶に使う食薬ー消①

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消(しょう)

体内に停留した宿食・痰など邪気を取り除きます。

 

芳香化湿類(ほうこうかしつるい) 消化を促進する

 

身体の虚弱・ストレス・病気などの原因で、食欲がないときに香りのある芳香化湿類の食薬を使い、食欲を誘います。これらの食薬は気機の巡りをよくし、消化を促進する作用もあるため、食欲不振・げっぷ・吐き気・嘔吐・胸焼け・腹部の張り・大便失調などの症状に用います。ただし揮発性が強いため、煎じるときにはほかのものより後に入れるか、煎じる時間を短くします。粉末もよく利用します。また、消食類の食薬によって消化を促進します。

 

消食類(しょうしょくるい) 消化不良を改善する

 

脾胃の働きの失調や低下により、食欲不振・胃のもたれ・腹部の張り・げっぷ・胸やけ・吐き気・嘔吐など消化不良の症状が出ます。このときにおすすめの食薬です。

 

化痰止(かたんし)咳平喘類(がいへいぜんるい) 咳・喘息・痰の症状を改善する

 

乾燥する秋、寒い冬には咳と喘息の症状がよく現れます。食べ過ぎ・喫煙・肥満の場合は白い痰・黄色い痰・咳などの症状もときどきみられます。このようなときには、化痰止咳平喘類の食薬をおすすめします。呼吸機能を調節し、痰湿を取り除き、痰湿体質を改善する働きをもっているためです。

 

芳香化湿類

 

砂(しゃ)仁(にん) ——ショウガ科 性味 温・辛 帰経 脾・胃・腎 常用量 3~6g

期待される効能

①  化湿(かしつ)行(こう)気(き)止瀉(ししゃ):脾胃気滞による食欲不振・吐き気・嘔吐・腹部の張りと痛み・下痢

②  温(おん)中安(ちゅうあん)胎(たい):つわり・胎動不安・切迫流産

 

白豆蔲(びゃくずく) ——ショウガ科 性味 温・辛 帰経 肺・脾・胃 常用量 3~6g

期待される効能

①  化湿(かしつ)行(こう)気(き):脾胃気滞による吐き気・嘔吐・腹部の張りと痛み・食欲不振・胸のつかえ

②  温中止嘔(おんちゅうしおう):寒湿気滞による吐き気・嘔吐

 

草豆蔲(そうずく) ——ショウガ科  性味 温・辛  帰経 脾・胃 常用量 3~6g

期待される効能

燥湿(そうしつ)行(こう)気(き)・温中止嘔(おんちゅうしおう):寒湿阻胃による腹部の張りと冷えを伴う痛み・嘔吐・下痢

 

草果(そうか) ——ショウガ科  性味 温・辛  帰経 脾・胃 常用量 3~6g

期待される効能

① 燥湿(そうしつ)温中(おんちゅう):寒湿が脾胃を阻害する胃腹の張り・嘔吐・下痢

② 除痰截(じょたんせつ)瘧(ぎゃく):マラリア

 

注意

黄色になるまで乾炒りにするか、生姜(しょうきょう)汁で炒めると効果が高まる。

 

石(せき)菖蒲(しょうぶ)(開竅(かいきょう)類) ——サトイモ科  性味 温・辛・苦  帰経 心・胃 常用量 3~9g

期待される効能

①  化湿和(かしつわ)胃(い):湿濁気阻による胸腹部のつかえ・食欲不振・胃のもたれ・疼痛

②  寧(ねい)神(しん)益(えき)志(し):痰湿(たんしつ)邪気(じゃき)(心と脳に気が詰まること)による不眠・健忘・恐怖・耳鳴り

③  開竅醒(かいきょうせい)神(しん):痰湿邪気による精神混乱・意識不明・痴呆

 

藿(かっ)香(こう)  ——シソ科  性味 微温・辛  帰経 脾・胃・肺 常用量 5~10g

期待される効能

①  化湿止嘔(かしつしおう):湿阻中焦による脘腹満悶(かんぷくまんもん)(腹部の張り・もたれ)・食欲不振・嘔吐

②  発表解暑(はっぴょうかいしょ):風寒・暑湿による悪寒・発熱・頭痛・嘔吐・下痢

 

参考文献:

1) 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003

2) 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008

3) 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

4) 辰巳洋著.薬膳茶のすべて.株式会社 緑書房,2017

5) 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

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王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長