新たまねぎとは
春に収穫し乾燥させずにそのまま出荷され、3月から5月頃に旬を迎える真っ白い色の“たまねぎ”です。
みずみずしく辛みが少ないのが特徴です。生食に適していますので、サラダや酢の物、刺身などの添えなどにおすすめです。
美味しい新たまねぎを選ぶポイントは、重みがあり、みずみずしく皮が薄いものが良いと言われています。新たまねぎの保存方法はポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。傷みやすいため早めに食べるようにしてください。
通年出回っている玉ねぎは、収穫後に乾燥させて貯蔵されており産地によって収穫時期が異なるために一年通して玉葱が手に入るようになっています。玉ねぎは保存性が高いため、乾燥した場所に保管すると長持ちします。ちなみに、通常の玉ねぎは、皮にツヤがあり、乾燥していて硬いものを選ぶといいです。
玉ねぎの栄養と効能について
玉ねぎには抗酸化作用と疲労回復効果、血栓の予防、コレステロール値を低下させる作用、また、風邪を予防する効果もあります。
玉ねぎのツンとした臭いと辛みの成分(硫化アリル)が血液の凝固を抑制しサラサラにしてくれます。
抗酸化効果や血液をサラサラにしたい時などは生で食べる方が効果的です。
ただし、食べ過ぎは要注意です。
玉ねぎに含まれるアリシンという成分が強い殺菌作用があるため、胃や腸を刺激し、下痢や吐き気などを引き起こすことがあります。その他に、頭痛や体臭などの副作用があるため、生で食べる場合は50g(中玉ねぎ1/4個分)を目安にしましょう。また、切った玉ねぎを水にさらす事で辛みが弱まり、食べやすくなります。ですが、さらしすぎると栄養まで消失してしまうため食べやすい辛さになる程度で良いです。
加熱した玉ねぎの栄養について
玉ねぎは加熱することで甘くなり、食べやすくなります。食物繊維が柔らかくなり腸内での消化吸収率が向上します。食物繊維の消化吸収率が向上すると、血糖値の上昇抑制やコレステロールの吸収抑制、整腸作用などの効果につながります。
ビタミンB1と一緒に
辛み成分の硫化アリルはビタミンB1と一緒に取ることで疲労回復効果がより効果的になります。
ビタミンB1を多く含む食材は豚肉、ウナギ、玄米、豆類などがあります。
特に、豚肉はビタミンB1の吸収率が高いため「豚肉+玉ねぎ」の料理は疲労回復効果に抜群の組み合わせになります。ですが、水溶性のビタミンB1は栄養が水分に溶け出してしまうため、調理時間は短時間で行う、汁を活用するなどの工夫が必要です。例えば、御飯の上にのせて丼物にする、食材に調味汁がからむようにとろみをつける、スープ料理にする、このような工夫をして栄養の逃さないように意識してみましょう。また、体の疲れを感じた時の献立として豚肉と玉ねぎを使った料理(生姜焼き、スタミナ焼きなど)を参考にされてみてください。
命のスープ勉強会「新たまねぎと大麦のスープ」
みゆきの里の栄養課職員が集まって月に1回、命のスープ勉強会を開催しています。
辰巳芳子先生考案の命を支えるスープを施設調理(大量調理)向けにアレンジされたスープの勉強会になります。山本総料理長より食材の切り方、調理の手法などを学んでいます。
入居者様への提供予定日より前に勉強会の日程を組み、勉強会は栄養課職員にとって大事な予習の時間です。6月の勉強会は「新たまねぎと大麦のスープ」でした。
レシピは2通りあり、本来のレシピと施設向けのアレンジレシピを教えていただきました。
本来の作り方では小玉ねぎを丸い形のままスープに使用します。昆布とチキンクリアスープ、粒こしょう、ローリエ、梅干しで出汁をとり、小玉ねぎを煮ていきます。竹串がスッと入るくらいに柔らかくなったら大麦をいれます。大麦が煮えたら塩加減を調整し出来上がりです。
施設向けは玉ねぎを7~8mm角(煮た大麦と同じ位の大きさ)にそろえて切り、蒸らし炒めをします。刺激臭がなくなり、玉ねぎが透明になったら出汁と大麦を加えて煮ます。大麦が煮えたら味を整えて出来上がりです。盛り付けの時にミジン切りのパセリを飾ります。
最後に素材の栄養を取ることだけではなく、食べていただく人の事を思いながら心を込めて調理を行っています。誰かの為に心を込めた料理を作ることは、食べる人の心にはたらきかけるものと信じています。
富貴苑栄養課主任 田浦美穂