はじめに
回復期リハビリテーション病棟とは、急性期治療を終えた患者さまが、身体機能や日常生活動作(ADL)の回復を目指して入院する病棟です。
この病棟では、医師、看護師、リハビリ専門職などがチーム医療を提供し、患者さま一人ひとりに最適なプログラムを作成しながら、在宅復帰や社会復帰を支援します。
患者さまの容体が安定し、合併症のリスクを抱えていることもある中で、安全を確保しながら計画的なリハビリを進めるのが特徴です。
リハビリテーションは疾患にもよりますが1日最大2時間~3時間が目安とされ、日常生活動作の改善や寝たきり予防を図りながら理学療法、作業療法、言語聴覚療法を実施していきます。
回復期リハビリテーション病棟における作業療法の紹介
私が作業療法士ということもあり、少しだけ作業療法のご紹介をさせていただきます。
回復期リハビリテーション病棟での作業療法士は患者さんが日常生活に戻るための動作や活動を支援するリハビリテーションとして携わっています。
具体的には、食事、整容、更衣、トイレ、入浴などの日常生活動作から、仕事や趣味といった社会的活動まで、広範なスキルを向上させることを目指します。
患者さんそれぞれの能力や目標に応じてプログラムを作成し、身体的な機能回復だけでなく、心理的、社会的な適応力の向上にも焦点を当てています。
また、チーム医療として、医師や理学療法士、言語聴覚士、看護師、介護福祉士、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどと連携しながら支援を行います。
役割としては、退院後の生活をスムーズにする準備を手助けし、患者さま自身が最大限に自立できるようサポートすることです。
自宅に戻るために必要な生活動作の練習や、社会復帰のステップとしてのリハビリテーションが中心となります。
ガーデンリハ(ガーデンセラピー×リハビリテーション)の紹介
当院では、従来の回復期リハビリテーション病棟の取り組みに加えて、ガーデンセラピーの考え方を取り入れた園芸活動を作業療法の活動として導入しています。
病気により、元々できていたことができなくなってしまい落ち込んでいた患者さんがいましたが、植物と触れ合う内に「次はいつ水やりに行こうか?」と自ら進んで植物の水やりに取り組んでいただきました。
退院間近になると、立った状態でジョウロでの水やりができるまでに体も心も元気になっていただけました。
2025年1月にはイチゴ作りに患者さまたちと取り組み、とっても美味しいイチゴが育ちました。
先月は、メロン作りにも挑戦し無事に熟成した甘いメロンを育てることに成功しています。
収穫後は主治医の先生と相談し、嚥下に問題がない患者さまには、育てたイチゴやメロンを食べていただき、満面の笑顔になっていただいています。
まとめ
回復期リハビリテーション病棟での作業療法の役割として
①患者の個別ケア:それぞれの患者さんに合わせたプログラムを作ることで、効果的なリハビリを提供できる。
②日常生活の復帰を支援:日常生活動作の練習を通じて、患者さんが日常生活に戻れるようにサポートする。
③心理的なサポート:体だけでなく心の回復も助ける。成功体験を通じて自信を取り戻すサポートをする。
④社会性の回復:他の患者さんとの交流や集団活動を通じて、社会復帰の準備ができる。
今回、回復期リハビリテーション病棟での作業療法を簡単にご紹介させていただきました。
作業療法をこれから受ける方、受けたことがある方、そのご家族が作業療法の素晴らしさを感じていただければ幸いに思います。