改正労働施策総合推進法(カスタマーハラスメント対策)概要
(令和8年10月施行)
1. ハラスメントの基本
ハラスメントとは、地位や立場を利用した言動により相手に精神的・身体的苦痛を与え、尊厳を傷つける行為のこと。 資料では「言葉や態度によって相手に不快感や精神的・身体的な苦痛を与え、その尊厳を傷つける『いじめ』や『嫌がらせ』」と説明されている。
現行法では、パワハラ・セクハラ・マタハラ・育休等ハラスメントが定義されている。
2. 令和8年10月の法改正のポイント
● 新たに「カスタマーハラスメント」が法的に位置付け
顧客・取引先・施設利用者などの言動が、 社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する場合 これを「職場におけるカスタマーハラスメント」と定義。
また、求職者に対するセクシュアルハラスメントも新たに防止義務の対象となる。
3. 事業主に課される新たな措置義務
① 方針の明確化と周知
カスハラには毅然と対応し、労働者を保護する方針を示し周知する。 「職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化」することが求められる。
② 相談体制の整備
相談窓口の設置、担当者の指定、相談者の心理的配慮を含む柔軟な対応。
③ 事後の迅速・適切な対応
事実確認、被害者保護(担当変更・引き離し・メンタルケア)、必要に応じ警察通報や法的措置。
④ 抑止のための措置
悪質なカスハラへの対処方針(警告文、出入り禁止、販売拒否など)をあらかじめ定め、実行できる体制を整備。
⑤ 併せて講ずべき措置
相談者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止を就業規則等に明記し周知。
4. 望ましい追加取組
・商品・サービス理解を深める研修 ・顧客心理や障害特性の理解 ・業種特性に応じた対策 ・他事業主の労働者へのハラスメント防止方針の明示 ・名札の苗字のみ表示、ビジネスネーム活用などの実務的工夫 ・長時間対応を避けるための「対応時間ルール」設定
5. 医療・福祉分野への示唆
医療・福祉は「施設利用者・家族」からの迷惑行為が多い業種であり、資料の調査でも医療・福祉の84.9%が顧客等からの著しい迷惑行為を経験している。 そのため、相談体制・現場支援・記録管理・職員保護の仕組みが特に重要となる。
6.まとめ
令和8年10月の法改正により、カスタマーハラスメントは事業主が防止措置を講じるべき「義務」として明確に位置付けられました。医療・福祉の現場では、利用者や家族からの過度な要求や暴言などが職員の心身に深刻な影響を与えるケースが多く、組織としての対策が不可欠です。
事業主は、 ①方針の明確化、②相談体制の整備、③迅速な事後対応、④抑止策、⑤再発防止策 を体系的に整備し、職員が安心して働ける環境を守る責務があります。
ハラスメントのない職場は、職員の働きやすさだけでなく、利用者へのサービス品質向上にも直結します。今回の法改正を機に、組織全体でカスタマーハラスメント防止に取り組むことが求められています。
